結局は人間とアンドロイドの恋愛に行き着く

時空を移動する作品において、どうしても避けて通れないのがタイムパラドックス問題だ。

『安堂ロイド』では、沫嶋黎士が歴史をねじ曲げたことを理由に未来のサイバーポリスに殺されたし、麻陽も殺されようとしている。安堂ロイドの存在を公表するだけでも歴史が変わってしまうので、安堂ロイドは誰かに話したら、話した相手を殺すとまで麻陽に言っている。

『Q10』でも、Q10が現代に残ると歴史が変わってしまうので、平太が覚悟を決めてQ10のリセットボタンを押すエピソードがあった。ちなみに、記憶も残ってしまうと問題があるので、Q10に関わった人間は、徐々にQ10に関する記憶がなくなっていくという設定になっている。

平太は最後までQ10と別れることに悩んだが、それは平太がQ10に恋をしたからだった。このロボットと人間の恋というのが、結局はアンドロイド作品の究極の“あるある”ネタなのかもしれない。

本来は感情を持たないはずの機械であるアンドロイドが、人間と同じような自我に目覚め、人を愛することができるのか。『安堂ロイド』もサブタイトルが「A.I. knows LOVE?」となっているように、最終的には安堂ロイドが愛を理解するところまでを描くラブストーリーなんだと思う。

そうなると、恋人型ロボットに特化していた『絶対彼氏』をどう超えるのか、というところに今後は注目が集まりそうだ。『絶対彼氏』はコメディ要素もあるエンタメ作品だったが、ロボットであるナイトが自我に目覚め、梨衣子の本当の幸せを考えるようになる描き方は、なかなか感動的だった。

『安堂ロイド』のCGをふんだんに使った戦闘シーンは確かに迫力があるし、キャストも豪華ではあるので、ぜひアンドロイドに芽生える愛情の部分も過去の作品に負けない内容で描いてもらいたい。

 

たなか・まこと  フリーライター。ドラマ好き。某情報誌で、約10年間ドラマのコラムを連載していた。ドラマに関しては、『あぶない刑事20年SCRAPBOOK(日本テレビ)』『筒井康隆の仕事大研究(洋泉社)』などでも執筆している。一番好きなドラマは、山田太一の『男たちの旅路』。