映画『ジャスティス・リーグ』では、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』で命を落としたスーパーマンが仲間たちの力で復活を果たします。
アメコミライターの杉山すぴ豊さんによる『ジャスティス・リーグ』解説、今回は誕生80周年を迎えるスーパーマンについて、コミックへの登場から本作に至るまでをご紹介します。
スーパーマンはなぜ世界中で受け入れられたのか?
今年2018年は、アメコミ好きにとってメモリアル・イヤーです。スーパーマンがコミックでデビューして80周年(1938年)、伝説のTVドラマ・シリーズ「スーパーマン」の最終回から60周年(1958年)、クリストファー・リーブ出演の『スーパーマン』映画公開から40周年(1978年)です。
コミック 、TV、映画、どのメディアにおいても、スーパーマンの成功が先駆けとなって、そのあとに続くスーパーヒーロー作品のお手本になった、ということがおわかりただけるかと思います。
スーパーマンがなぜこれほどまでにアメリカ人を熱狂させたのか?
それについては様々な意見があるのですが、僕がなるほどと思ったのはふたつあって、ひとつはアメリカは若い国だからヨーロッパみたいに英雄神話というものがそもそもない。だから神話に出てくる超人たちのすべてを兼ね備えたスーパーマンの存在がその役割を果たした。もうひとつは、スーパーマンは惑星クリプトンからアメリカへと移り住んだ“移民”であり、移民がアメリカを偉大にしたということの比喩である、と。
一方、スーパーマンはアメリカだけでなく、世界中、日本でも受け入れられたわけですが、ではそれはなぜか? 恐らく世界で初めて“空を飛ぶヒーロー”だったからじゃないかと。やっぱり空を飛べる、というのは人間にとって憧れであり、最初にそれを見せてくれたヒーローだったわけです。
僕は物心ついたときから鉄腕アトムやウルトラマンを見ていたから、ヒーローが空を飛ぶ、というのは当たり前でしたが、その“当たり前”こそスーパーマンが作ってくれたのですね。
これはクリストファー・リーブ出演の『スーパーマン』のリチャード・ドナー監督もコメントしていましたし、また僕が実際、『マン・オブ・スティール』の公開時にヘンリー・カビルにインタビューした時も言われたのですが、スーパーマン映画の成功の秘訣は、いかにスーパーマンが空を飛ぶことを観客に信じ込ませるか、にかかっているんだと。