夫婦間のモラハラ、どう修復する?
夫婦間のモラハラは、修復は可能なのでしょうか?
可能な場合、どんな方法があるのでしょう?
太田さん「夫婦間のモラハラは、双方ともに自分と向き合うこと、そしてお互いに対するコミュニケーションを見直すことで修復は可能です。『Re:gene(リジェネ)』では、主に次のようなステップを大事にしています」
一次感情と向き合う
モラハラする側は、怒りの感情がとても強く、コントロールができない人です。
怒りというのは、心理学で『二次感情』と言われています。つまり、元になる『一次感情』があるのです。
一次感情は、寂しさ、不安、恐怖、などです。怒りの底にある本当の気持ちを自分の生い立ちを含めて見つめ直し、怒りの正体を分析する。それが衝動的な怒りを止めるための第一歩になります。
モラハラを受けている側は、自分の気持ちを抑えて人に合わせて生きてきた人が多いと先ほど述べました。自分の本当の気持ちに敏感になり、伝えることが大切です。
私自身も、かつて夫からモラハラを受けて鬱になりました。修復の第一歩は、自分の本当の気持ちを伝えたことからでした。
あなたのあの言動でどれだけ傷ついたか。どんな悲しい気持ちで毎日を過ごしているのか。私は今すぐ離婚したいぐらい辛い思いを抱いている。…夫はそこで私の気持ちを知り、自分のモラハラ行為に気づき、自分を変えようという意識を持ったのです。
マイルールを共有する
モラハラをする側は、自分の中のマイルールを明確にする必要があります。
モラハラの原因となるマイルールは、幼少期の家庭環境から来ているものが多いです。自分の中では当たり前かもしれませんが、他人からしたらまったく当たり前でないのです。マイルールを言語化することで、客観的に自分を見ることができるようになります。
モラハラを受ける側は、相手のマイルールがよく分からぬまま相手に全部を合わせている状態。
マイルールを共有することで、妻側も「だから夫はあの時あんなに怒っていたのか」ということが理解できます。
そして、『マイルールは共有するものであって、強要する(強要される)ものではない』ということも、互いにしっかり認識します。
お互いの違いを尊重する
夫婦間のモラハラはお互いに深く依存しあっていて(共依存)、モラハラする側は「相手は自分の思う通りに動いて当然だ」、モラハラを受ける側は「相手の言う通りに考えなければならない」「相手のすべてを受け入れてあげなければならない」という考えを強く持ってしまっている場合が多いです。
そこをしっかり、お互いに「あなたはあなた、私は私」と、区別をつけていきます。
お互いの違いを受け入れ、分かり合い、尊重する関係性に変えていきます。
違いを楽しむ、と言ってもいいでしょう。
互いの違いを活かして家庭内の役割分担をするなど、夫婦生活を楽しむ工夫をしていくことが大切です。
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夫婦間のモラハラは、家庭という閉じた世界だけで起こるもので、友人や知人、親きょうだいには相談できない、相談してもなかなか分かってもらいにくいのが実情です。
「夫からのモラハラが辛い」「誰にも理解してもらえない」と悩みを抱えている方は、モラハラ専門のカウンセラーに相談・問い合わせてみてください。
【取材協力】太田 瑠美
モラハラ解決相談所『Re:gene(リジェネ)』所長。
自身もかつて夫によるモラハラに悩んでいたが、1年がかりで修復。2015年より「同じ思いで苦しんでいる人の助けになれれば」と活動を開始。現在までに約1300件を超す相談を受け、解決に導く。その活動が、産経新聞・神戸新聞・NHKほっと関西など、全国のメディアに取り上げられ、反響を呼んでいる。