――そして来年の3月23日にはこの1年の集大成になるライブ「The Resurrection of FENNIX」が高田馬場AREAで行われます。直訳すると「不死鳥の復活」でしょうか?
RYO:SUKE:不死鳥って一度火に飛び込んで、灰になってから復活するじゃないですか。
その物語になぞらえて、この一年の間、常に更新したい、進化したいとWING WORKSをやってきたんです。
だから高田馬場AREAのワンマンで、一回不死鳥は死ぬんですね、そして転生することで、また新たに始めて行こうというメッセージを込めているんです。
WING WORKSのワンマンライブは、ただROCKのライブをやるだけじゃなくて、ROCKSHOWだと思っているんですね。本当にシアトリカルで、音と映像で人間を表現したいんです。
不死鳥の物語を迫り来るようなサウンドと一緒に感じてもらえるSHOWにしたいと思っています。
――ライブはどんな雰囲気なんでしょうか。
RYO:SUKE:僕は常に「命を燃やせ!」ということを心がけていて。
ここまで作ってきた音楽を、どういうスタンスで目の前にいる現場のお客さんに発信していくかという時に、本気でその魂と魂をぶつけあう空間でありたいって凄く思うんですよね。
色んな音楽の現場ってあるじゃないですか。心地いい距離感、空間で楽しみたいっていう音楽もたくさんあると思うんです。
だけど僕はどちらかというと、それこそ「生と死」じゃないですけど、擬似的に死を体験するくらいまで突き詰めるというか…、無我の境地に行くくらい、すごくカオティックな…。
でもその中で前向きでポジティブなメッセージもオーディエンスと共有できているという空間を僕は作りたいと考えていて。
汗もいっぱいかいて、たくさん暴れて、だけどひとつになって…、という空間を目指していて、それを僕は「命を燃やせ!」という風に呼びかけていて、語りかけています。それがWING WORKSのライブです。
――ところで、さきほどから「ヴィジュアル系シーン」という表現がでてきますが、正直なところ最近のシーンをどう見ていますか?
RYO:SUKE:新しいものに挑戦しなければならない局面に立たされていると思いますね。新しいものをクリエイトしてるアーティストが極端にいないなと。今非常に残念なことに、エンターテイメント業界が右肩下がりになっていく中で、「次の一手」というものが、アーティスト当事者にせよ、それを世の中に対してPRしていくメディアの方たちも「次」を勇気を出して提案できてない時代だと思っていて。
今の表現は、「なんとなくこういうもの」「こういうジャンルです」みたいなものが確立されてる中に、それを買うユーザーがいて。そこに対してニーズに合わせて落としこんでいくという作業にすぎないのではというか。
――パイを増やそうとしていない?
RYO:SUKE:まったく増やそうとしていない。当然少子化だし、音楽パッケージが売れない時代だし、マーケットは収縮していくのに新しいユーザーを増やそうという努力をしているアーティストが、今のシーンで僕は数える程しかいないと思っていて。
それが最も顕著なひとつの新しいスタイルとしては「ヴィジュアル系」というひとつのエンタメコンテンツをうまくパロディ、デフォルメ化したものだと思っていて。それは当事者のアーティストご本人たちもわかった上でやっていると思うし、僕は全然それに対して批判めいたスタンスを持っているわけじゃないです。
でもそこで「そういうバンドが売れたから俺たちもおもしろいことやろうぜ」みたいに、今までクールに決めてたバンドが、ちょっとおふざけしてみたりとか。そういうのは、あくまで後追い、確立されたマーケットに対して自分たちを落としこむ作業に過ぎないっていうか…。
その一方で出てきている、そういうのとはまったく逆のジャンルのバンドさんも、今の若いユーザーからしたら新鮮である反面、やっぱそれも過去にヴィジュアル系の中で確立されたスタイルのリバイバル色が強いひとも多いなと僕は思っていて。
それでは、絶対に当時の歴史を更新することは出来ないんじゃないかな。