人前でも平気で「おっぱいが…」と口にしたり、夫のことを「パパ」とか「お父さん」と呼んだり……。

ママになりたての頃、周囲のママたちの“ママ特有”の言葉遣いや行動に、抵抗を感じた人も少なくないのでは?

ところが、子どもとの生活にどっぷり浸かって数年が過ぎると、いつしかそんな言動が「当たり前」に……。本人は無意識でも、もしかしたらパパや子どものいない友達には不思議に思われているかもしれません。

そこで今回は、そんな「ママ界の暗黙のルール」にスポットを当ててみました。ルール化する理由や背景についても考えながら紹介していきます。

1.知らない子でも「お友達」

「お友達が順番待ってるから、そろそろブランコは終わりよ」

このように、友達でも知り合いでもないいわゆる「よその子」を、なぜか「お友達」と呼んだことはありませんか?

よく考えてみると「友達でもないのになんで?」と感じるこのルール。テレビの幼児向け番組や保育園・幼稚園で使われていることが影響しているようですが、いつ頃から定着したのかはよくわかりません。

ただ、実際に使っているとメリットも感じます。たとえば先述のように、公園の遊具で遊んでいるときに、名前を知らないよその子のことを話題にする場合。

「ほら、あの子が順番待ってるよ」と言うと、何だかちょっとよそよそしくて、“あの子”のパパやママに聞かれたら印象がよくありませんよね。「ほら、お友達が順番待ってるでしょ」と言えば、一気に柔らかく、聞かれても問題ない雰囲気になります。

このルールに則れば、たとえ初めて会う知人の子どもでも、最初から呼び方は「お友達」ですから、子どもたち同士、距離を縮めやすいのではないでしょうか。

2.人前でも「おっぱい」「うんち」OK

独身時代に家族以外の友人や知人といっしょにいるときに「おしっこ行ってくる」「ちょっとうんち」なんて言っていた女性は、おそらく少数派だろうと思います。まして「おっぱい」は、ほとんど使わない言葉だったのではないでしょうか?

ところが、ママになった今はどうでしょう。むしろ多くのママが、これらの言葉を積極的に使っているのでは?

特にママ友同士でいっしょにいるときは、「ちょっとトイレに」とぼかしてもいいところを「おしっこさせてくる」などと具体的に大か小かを表明することが多い気がします。

もちろん授乳中のママなら「おっぱい」は、1 日10回以上は口にし、見聞きする頻出ワード。そこに羞恥心はありません。

なぜ羞恥心がなくなるのかというと、それはきっと、ママにとって、「おっぱい」や「うんち」があまりに身近だからでしょう。

多少の個人差はあるにせよ、子育てが始まった途端、ママの生活は「おっぱい」「おしっこ」「うんち」に大部分を占められます。毎日が「おっぱい」「おしっこ」「うんち」の繰り返しと言っても過言ではありません。

そんな日々を送るうち、多くのママにとって、「おっぱい」「うんち」「おしっこ」は、日常に不可欠な、あって当たり前の存在になっていくのです。

もともとは、ちょっと恥ずかしい、口にしにくいイメージのあったこれらの言葉。ママになって○年経った今、改めて字面を眺めると、案外、親しみや可愛らしさまで感じてしまうから不思議です。

3.家族の呼び方は「パパ」「じいじ」「ばあば」

大人の女性なら、人前では自分の夫のことを「夫」もしくは「主人」と呼ぶのが常識。自分の母親のことは「母」、父親のことは「父」と呼びますよね。もちろんママたちだって、職場などのオフィシャルな場ではこの常識に従っているはず。

しかし、幼稚園や保育園のママ友同士で話すときや、子ども絡みのお付き合いの場では、なぜか夫は「パパ」、母親や父親は「ばあば」「じいじ」といった呼び方に。

これも「家庭内での呼び方に慣れすぎて、抵抗がなくなってくる」のが主な理由だと思われますが、そのほかに「子ども目線を意識している」ということもあるようです。

幼い子どもにとって、ママの夫はあくまで「パパ」か「お父さん」だし、ママの両親は「じいじ」と「ばあば」、もしくは「おじいちゃん」「おばあちゃん」。言葉をしゃべれるようになったばかりの子どもの前で「主人が」「うちの父が」などと口にすると、子どもが混乱するんですよね。

「夫」や「主人」という呼び方を通していたけれど、何度か子どもに「シュジンって誰?パパじゃないの!?」などと問いかけられて、子どもの前ではついつい「パパ」と呼ぶようになったママもいるかもしれません。