おこづかいのあげかたのヒント

なんでも親が買う・買わないを決めるのでは、自分でお金を使う方法が身につきません。親の目からみると「そんなムダな買い物しなくても…」と思うようなものも、子どもの世界では重要な意味があったりします。そして、失敗もさせながら、お金の使い方を覚えさせていきたいところです。

このときおこづかいは「あげすぎず、あげなさすぎず」のさじ加減がポイントです。使い切れないほどあげるのでは、やりくりを覚えさせることができません。逆に少なすぎると親がお菓子や文房具等を随時買ってあげることになりがちで、おこづかいの役割が低下します。

クラスメイトのおこづかい額等も参考にしながら、ちょうどいい金額をあげるようにしてみましょう。適宜見直していくことも必要ですが、そのときは、両親そろって話し合いをするなど、「なぜおこづかいが増えるのか」「どう使ってほしいと親は考えているのか」などコミュニケーションもはかるようにしてください。

 

おこづかいで教えられないこと、教える工夫をしたいこと

お金の使い方を学ぶ意味で重要なおこづかいにも実は「教えられないこと」があります。大人になるまでに覚えておきたいお金のルールのうち、以下のようなポイントはおこづかいだけでは教えることができません。

・高額消費に備え貯金して買う……高校生や大学生になると、夏休みにバイトをしてバイクや楽器を買うような苦労をしますが、こうした「貯めて、高額の買い物をする」はおこづかいで教えられない部分です。アルバイトなどをさせて覚えさせたいところです。また、社会人になると数年越しでお金を貯める(住宅購入の頭金など)計画性も必要ですが、おこづかいでは教えるのは難しいでしょう。

・生活費そのものを稼ぐこと……当たり前ですが、働いて自分自身の生活費を稼ぐようなことはおこづかいで教える範囲ではありません。子どもは勉強することが本文であり、子どもに自分の生活費を稼がせるような労働をさせることはできないからです。仕事の大変さもなかなか教えにくいところです。

・借金の大変さ……借金をすれば、借りたお金以上のお金を期日に返さなくてはいけません。返済できない者は信用を失います。しかし、おこづかいでここまで教えることは難しく、かといって大学生以降になるとクレジットカードも作れるようになってきます。借金はできる限り避けることを教える必要があるでしょう。

 

おこづかいは、マネー教育の第一歩!

おこづかいは、お金の使い方を覚える第一歩です。考えてみれば大人もいろんなムダづかいをするものですし、買い物の喜びを味わうためにお金を使っているはずです。子どもにも「失敗したー!ムダづかいだったー!」「(親からすればムダな買い物だけど)買ってうれしい!」という感情の部分を学ぶツールとして、おこづかいを与えてみてください。

しっかり指導していきたい場合は「おこづかい帳」をつけさせて、使い道についてアドバイスしてあげるのもいいですね。

やまさき・しゅんすけ 「人生の幸せの問題は、たいていはお金の問題である」という考えのもと、お金と幸せについて考えるファイナンシャル・プランナー(FP)。公的年金制度・退職金制度、投資教育が専門。Twitterでは毎日一言「お金の知恵」をツイートしてます。副業はオタクで、まちあるき、アニメとコミック、ゲーム好き。所属学会は東京スリバチ学会と日本年金学会