一方、生徒と学校のデメリットは?
では、デメリットはあるのだろうか。
話を伺ったところ、子どもたちの中の固定的な人間関係などが、9年間そのまま続いてしまう可能性があるとのこと。しかし、ネガティブな方向に向かわないよう、じっくりケアしていくとも話されていた。
それぞれの位置関係 (同校資料より)
また、現在両校は直線距離にして約120メートル離れているため、連絡などがタイムリーに行えないことがあるという。
しかし将来的な校舎一体化も視野に入れながら、小学校と中学校の日課表を調整するなど、さらに小中の協力体制がとりやすい環境を模索しているようである。
さまざまな世代や異文化の中で、自分を見つける9年間
海外の子どもが描く絵にも、日本にはない世界感が見受けられる
今回特に印象的だったのは、「震災地支援をやってみたい」という小学生がいたということ。普段から何気なく耳にする中学生たちの会話に、何かインスピレーションと衝動を感じたのだろう。
「小中一貫教育」には学習の効率という側面もあるが、こうした小中の垣根を越えた世代間の接点が生まれることも、重要な効果のひとつではないだろうか。
加えて、海外との交流など、自分とは違った価値観の友達と過ごす時間が増えれば増えるほど、他人の立場を思いやることのできる子どもが育つと信じたい。長いようで短い9年間、2度と戻ってこない貴重な時間を、思う存分楽しんでほしい。
※本記事は2013年5月の「はまれぽ」記事を再掲載したものです。
関連記事