未練はないのに元彼を忘れられない理由
客観的に見れば、祥子さんが元彼に向ける感情は嫌悪であり、自分は傷つけられた側という認識があるから、それがしこりになっているといえます。
「まだ好き」の未練はなくても心のなかから存在が消えないのは、自分なりにがんばっていたことが元彼には届いていなかったのだ、と思い知らされるからです。
「一緒にいても楽しくない」と、別れる理由を自分に持ってこられたことが、祥子さんの怒りの元でもありました。
「後になって文句が出るのですよね、自分だって仕事が忙しいとわかっている私に何の気遣いもしてくれなかったとか。
こっちが大変なときに一方的に別れ話を振ってくるのも非常識だと後で思ったし、あなただって私を大切にはしてくれなかったじゃないのって」
眉根を寄せてそう話す祥子さんには、自分の状態を理解しようとしなかった元彼への明確な怒りが見えました。
「確かに会う時間はなかなか作れなかったけれど、私は精一杯やっていた」が祥子さんの実感であり、それが報われずに終わったことが痛みとなって心に残っているといえます。
未練はないけれど元彼を忘れられないのは、「理解されなかった自分」への悲しみが消えないからなのですね。
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