はい。演出家さんや、脚本を書かれた岸谷五朗さんからヒントをたくさんいただいて、そこからイメージを膨らませていきました。
コルリは、私が属する階級の中では、まだ若くて、下の方の年齢にいながらも、発する言葉一つひとつ、物事の先を見越して言う、仲間たちの中でも一番頭の回転が速い、というのがコルリだ、って言われていたんです。
お稽古のときも、ずっとそう言われていて、「えっ!」と思うこともたくさんありました。五朗さんがよく言って下さったのは、「今のはコルリとしてじゃなく、宮澤佐江として台詞を言っている」ということでした。
コルリはもっと反応やテンポが速い、って、最初はそれをよく理解できなかったんです。
私も初めての舞台だったので、最初は自分の間(ま)で、丁寧に、聞こえるように台詞を言わなきゃって思ってたんですが、だんだんお稽古が進んで、慣れてきて台本も全部頭に入ったとき、次のステップとして五朗さんがこう言ってくれたんです。
――岸谷さんが描く“コルリ”を超えてほしい、というお話を岸谷さんとされた、と以前お聞きしましたよね(第45回)。
そうですね。自分と似てる役ほど難しいんだな、と感じさせてもらったのも、このときだったんです。
覚えてた台詞も、言われたことが身体に入っていくまでは、スピードが出ると、ついついかんでしまったり、ど忘れしちゃって。なかなか前に進めないことも、お稽古中にありました。
でも、今こうして、公演回数を重ねていくうちに、コルリがどういう役か、全く知らずに来てくれた友人たちも、「コルリって、全場面を通してスピードを出していってるよね。シーンの空気を全部コルリが変えようとしてくれてる」っていうのを感じ取ってくれていて。
「あ!!! よく分かったねーーーー」って、その感想を聞いたときはスゴく嬉しかったですね。役に対する先入観なく、普通に見てくれている人にも伝わってるんだなって思って、本当に嬉しかった!
――スピード感のある“コルリ”が、普段の生活の中に出てきてしまう、ってことはあるんですか?
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