不審な送信元に直接問い詰めると不倫が発覚!

小梢さんはついに我慢の限界に達し、「A社総務部」からの着信に対し、夫のスマホを取り上げ、「どちら様ですか?」と相手先に尋ねたのです。本当に電話の主が「A社総務部」なら、そう答えるでしょう。しかし、相手先は「アッ」と咄嗟に一言、発しただけで、それ以降は無言のままでした。

小梢さんは電話を切ると、夫に対して「これは誰なのよ!」と詰問。夫いわく相手はA社総務部ではなく、新しい会社に勤める同僚の女性。仕事を教えてもらっている間に意気投合。仕事終わりに飲みに行く仲となり、帰宅する前にホテルに立ち寄り、数回、体の関係を持ったことを白状したのです。

呼び出した夫の不倫相手の言い訳にブチギレる妻

もし、小梢さんが夫の不倫を許さず、離婚するつもりなら、二人の関係を「どうぞお好きに」と野放しにしても良いですが、離婚しないのなら話は別です。「まだ続いているかも」と心配しながら結婚生活を続けるのは精神的に無理です。

転職を繰り返す夫とはいえ、年収は400万円。パートタイマーの小梢さんにとって、娘さんを育てるには夫からの生活費が必要です。また娘さんから父親を奪いたくないという気持ちもありました。いろいろなことを考え、夫とやり直す道を選んだのですが、不倫は連帯責任です。

意思の弱い夫がいつ、女性とよりを戻すか分かりません。何より女性本人と話をしたいと気が済みません。そこで夫に「許してあげるんだから手伝いなさい」と言い、女性をいつもの居酒屋に呼び出すことを協力させたのです。そこで尻尾を捕まえる作戦です。

居酒屋に現れた小梢さんに女性は「ヤバッ」と気付くも逃げきれず、小梢さんは直談判に持ち込むことに成功しました。

そこで女性が自ら謝り、反省すれば良かったのですが、彼女の第一声は謝罪ではなく自己弁護。「旦那さんにしつこく誘われて断れなかったんです!」という言葉に小梢さんは激怒。「しつこく誘われても断れば良かったんじゃないの?」と一蹴した上で「悪いと思っていないですね?あなたのせいでうちの家庭はめちゃくちゃですよ!分かっていますか?」と投げかけたのです。

しかし、女性は「旦那さんに家庭があるなんて知らなかったんです」と、また逃げの一手を放ったのです。夫は入社時に自己紹介をしているはず。そのため、小梢さんは「同じ会社なのに結婚しているかどうか分からないなんておかしいでしょう」と否定したのです。

不倫相手と誓約書を交わしスマホ内の情報も全て削除

しかし、今度は女性が「私に会社を辞めろって言うんですか?それじゃ、生活できないので困ります!」と逆ギレ。夫は入社してから1年未満。一方の女性は10年以上。長い間、働いた会社を退職したくないと言うのです。

そこで小梢さんは「辞めるのはあなたではなく主人です」と言い、誓約書を提示。夫は就活のとき、もう一社から内定をもらっており、そちらに転職する手はずになっていました。誓約書とは社内、社外を問わず、夫と一切、連絡を取らないという内容です。

女性の不誠実な態度を考えると、誓約書に一筆を書かせるだけでは不十分。なぜなら誓約書を守らない可能性もあるからです。

そこでお互いのスマホから相手の連絡先(携帯番号、メールアドレスなど)を削除した上でLINEやフェイスブック上の友達から削除、さらに夫が入社してから保存した写真をすべて削除させたのです。これでようやく夫のスマホに「A社総務部」から電話がかかってこないようになりました。

ここまでは小梢さんが夫の不倫の後始末をするまでの苦労について紹介してきました。夫婦間の約束は夫婦間のみで有効です。一方、相手の女性に対して効力は及びません。これでは女性が夫を誘うことを防ぐことはできません。そのため、妻と女性との間で約束を交わす必要があります。

なお、小梢さんは夫のことを完全に許したわけではないそう。娘さんは現在、9歳。11年間に限り、一度は裏切った夫と仮面夫婦を続け、娘さんの成長を待ち、「11年後には離婚します!」と力強く語ってくれました。

1980年生。国学院大学卒。行政書士・FP。離婚に特化し開業。6年目で相談7千件、会員は6千人を突破。バナナマン設楽さんの「ノンストップ」、明石家さんまさんの「ホンマでっかTV」、EXITさん初MC「市民のミカタ」などに出演。「STORY」「AR」などファッション誌にも登場。著書は「婚活貧乏」など11冊。