罪悪感や後悔に苦しむことも…
親家片は、ただ親の家のものを整理・処分すればいいというものではありません。
親の家には、親自身の大切な思い出の品、自分やきょうだいの大切な思い出の品がたくさん詰まっています。
親と一緒に行う親家片の場合、良かれと思って勝手に進めたことで、親の心を深く傷つけてしまうこともあります。
親なしで行う親家片の場合、なかなか捨てる決心がつかないものや、どう処分していいか迷うものもたくさん出てくるに違いありません。
「罪悪感や後悔に苦しむことになるのは、多かれ少なかれ誰しもあるものだ」と考えておいた方がいいでしょう。
罪悪感や後悔を減らすためにも、やはり事前に親と話し合って、できる準備はしておきたいですね。
親家片をスムーズに行うためのコミュニケーションのコツ
ここからは、コミュニケーションライターの筆者が、親家片をスムーズに行うための親とのコミュニケーションのコツについてお伝えします。
「一緒に~しよう」と声かけする
親に家の片づけを意識してもらいたい場合、「不用なものは処分しておいてね」「今後のことも考えて、これ以上家の中に物を増やさないようにしてね」と声かけするだけでは、真剣に取り組んでもらえない可能性が高いです。
人は、一人で何かやるより、誰かと一緒になって取り組む方がやる気やモチベーションが上がるものです。
声かけは「一緒に~しよう」という風に伝えましょう。
(例)
●「今度、一緒に家の中の不用な物を処分しよう」
●「今後のことも考えると物を増やさないようにした方がいいと思うから、必要なものがあるときは一緒に考えよう」
「話を聞く」を大切に
年老いた親とのコミュニケーションにおいて、つい疎かにしてしまいがちなのが、「話を聞くこと」。
「こうした方がいいに決まっている」という思い込みから、親の話をろくに聞かずにどんどん事を進めしまい、不満を抱いた親からある日突然激しい怒りをぶつけられてしまう…ということはよく起こり得ます。
親家片をするときは、親の話を聞いて、「老後はどこで、どういう生活をしたいと思っているのか?」「絶対に手放したくないものは何か?」「どうしてそれを手放したくないのか?」など、親の気持ちを受け取り、その気持ちを承認してあげましょう。
自分の子どもに話を聞いてもらえることで心の整理がつき、片づけや整理も捗ることも大いに考えられるのではないでしょうか。
ある日突然親家片をしなければならなくなった時も、日頃から親の話を聞いておくことで、片づけに際して戸惑いや迷いが少なくなります。
頑固で天邪鬼な親には…
人の言葉には「いや、それは違う!」とすぐ反発したり、子の助言を全否定する親御さんをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
そんなガンコ者・天邪鬼な親には、『否定命令』というテクニックを使ったこんな伝え方もおすすめです。
(例)
●「お父さん(お母さん)はまだまだ元気で暮らせると思うから、家の片づけとか相続のこととか考えなくてもいいからね」
このように伝えることで、子の言うことには否定から入るのが癖になっている親は、「そんなことはない!自分も年を取ってきたからそろそろ取り組まないと…」となるというわけです。
また、次のような伝え方もおすすめです。
(例)
●「そろそろ不用品の整理や相続のこときちんとしておいた方がいいかもしれないね」
「~かもしれないね」という言い方は、押し付けがましくないので、心理的抵抗が少なく、受け入れやすいのです。
親家片をスムーズに行うためには、親はもちろん、きょうだいや親族とのコミュニケーションも良好に保っておくことが大切です。いざという時、相談ができたり、手伝ってもらえることができたら、これほど力強いことはないでしょう。
本書には、親家片をたった一人でやり遂げなければならなかった女性のエピソードがありました。一人で行う親家片は、肉体的にも精神的にもより過酷です。
本記事が、親家片に関する意識を高めていくきっかけになれば、そして親との円滑なコミュニケーションに役立てば嬉しいです。
親家片についてもっと詳しく知っておきたいという方は、ぜひ本書をご覧になってみてください。