慰謝料を請求をしなかったのは子どもたちのため

妻の不倫が発覚してから、弁護士事務所に相談に行き、妻の不倫の証拠写真等を見せて状況を話したところ、「慰謝料請求は可能」と言われました。

が、S氏が妻や不倫相手に慰謝料請求をすることはありませんでした。

なぜ慰謝料請求をしなかったのでしょうか?

「話し合いの結果、子どもたち二人は、妻と暮らすことになりました。妻に慰謝料請求するにも、妻は金遣いが荒く、財産も貯金もほぼありません。無いところからはどうやっても取れません。

子どもたちのこれからの生活のことも考えたら、慰謝料請求はとてもできませんでした。

不倫相手に請求することも考えましたが、これも妻に『お願いだからそれはやめて』と頼み込まれて断念しました」

現在S氏は一人暮らし。週に一回は子どもたちと遊びに行ったり、買い物に連れて行ったりしているそうです。

子どもたちの養育費は、毎月欠かさず妻に払っているとのことです。

なお、不倫の証拠写真等は、念のためまだ削除はせず保存しているそうです。不倫の慰謝料の時効は「配偶者の不貞行為の事実及び不倫相手を知った時から3年、又は、不倫関係が始まった時から20年」だからです。

離婚後の心情

妻との離婚が成立してすぐ、S氏は40歳以上を対象としたマッチングアプリに登録をし始めました。この先の人生を一生独りで生きていくのは不安だし寂しすぎる、と思ったからです。

というのも、S氏の両親はすでに他界。きょうだいはいますが疎遠。そういう身の上では、離婚後の独りの生活は不安と孤独感が強烈に増し、焦りが強くなるのも当然でしょう。

S氏は「良い人がいれば、将来的に再婚したい」と考えていました。

縁があってお付き合いすることができた女性は何人かいましたが、いずれも3〜4ヶ月ほどで終わりました。

一人目の女性は、結婚したい時期が噛み合いませんでした。(女性側はできるだけ早めにと考えていましたが、S氏は子どもたちが自立し始める年齢になるまでは籍を入れることは考えていませんでした。)

二人目の女性は、相手の女性が求めるコミュニケーションについていくことができず、疲れてしまいました。

「今、離婚して一年以上経って、ようやく不安や孤独感が薄れてきて、独りの生活をそれなりに満喫できるようになってきました」というS氏。

離婚がきっかけとなり、それまで疎遠だったきょうだいや従兄弟、友人との交流も増えてきたそうです。

今回お話を聞かせてくれたS氏の娘さんは、「私は将来、結婚は絶対にしない。お父さんとお母さんを見ているから」と言っているそうです。

親として、せめて子どもたちのこれからの人生にトラウマや禍根を残すことのないようにだけは配慮したいものですね。

3万人を超える人の悩みを解決するコーチ&カウンセラーとして活躍。 2010年、その経験を活かしてコミュニケーション心理スキルを紹介する、コミュニケーションライターとして独立。一般社団法人日本聴き方協会認定シニアインストラクター・認定シニアカウンセラー。 [ブログ]