妻の育児の邪魔をする夫と喧嘩が絶えない日々

第三に親としての姿勢です。これは子どもにどう思われたいかですが、樹里さんは娘さんの手本となるように努めていましたが、一方の夫はそうではありませんでした。

例えば、樹里さんが礼音ちゃんに箸の持ち方を教え、ようやく補助がついた子供の用の箸を使えるようになった頃のこと。夫は「そんなことはしないでいい! スプーンを使ったらいい!」「箸で突き刺したらいい!」などと言い放ったのです。

夫は何もしなければ、少なくとも無害かもしれません。しかし、夫のやることは樹里さんの邪魔であり、娘さんにマイナスの影響を与えかねません。樹里さんと夫が娘さんの前で言っていることとやっていることは180度異なります。

両親の板ばさみにあえば、礼音ちゃんもどちらを信用していいかわからず混乱します。その結果、成長が遅れる可能性もあります。

このように樹里さんと夫は育児をめぐり、事あるごとに喧嘩を繰り返し、挙句の果てには夫が「もういい」と家を出て行ってしまったのです。樹里さんも「娘のことを考えると(夫は)いない方がいい」と思い、夫を連れ戻そうとはせず、そのまま離婚に至ったのです。

「育った環境が当たり前」という考えは覆せない

ここまで樹里さんが夫との意見の相違で疲れ果てる様を見てきましたが、夫は子どもに冷凍食品ばかりを食べさせること、保育園でしつけてもらうこと、そして目の前で喧嘩をすることを悪いと思っていないのでしょう。

なぜなら、自分も同じような家庭で育っただろうからです。正しいと思っている相手に「間違っている」と言っても暖簾に腕押し。何回、何十回、同じことを言っても、残念ながら通じません。

このように考えると、いざ結婚する前に相手がどのような家庭で育ったのか。どんな教育を受け、生活を営み、何を与えられたのか(与えられなかったのか)をきちんと聞き出すことが大事ですね。

1980年生。国学院大学卒。行政書士・FP。離婚に特化し開業。6年目で相談7千件、会員は6千人を突破。バナナマン設楽さんの「ノンストップ」、明石家さんまさんの「ホンマでっかTV」、EXITさん初MC「市民のミカタ」などに出演。「STORY」「AR」などファッション誌にも登場。著書は「婚活貧乏」など11冊。