2004年に一作目が発売され、今年でシリーズ10周年を迎えた「モンスターハンター」。この夏、8月2日(土)より「10周年記念 モンスターハンター展」が渋谷ヒカリエで開催される他、10月11日(土)にはシリーズ最新作となる『モンスターハンター4G』(以下、『MH4G』)も発売になるなど、メモリアルイヤーを迎えてこれまでにない盛り上がりを見せている。
「ハンティングアクション」というジャンルを一般的なものにした国民的ゲーム「モンスターハンター」はいかにして生まれ、ここまで大きく成長したのか。
「モンスターハンター」シリーズ歴代作品のディレクターや世界観監修を務める藤岡要氏、シリーズ第一作目からオンライン運営で関わり、『モンスターハンターポータブル 2nd』(以下、『MHP2nd』)よりプロデューサーを務める辻本良三氏、シリーズ第一作目からプランナーとして関わり、その後はアシスタントプロデューサーとして歴代作品に携わってきた小嶋慎太郎氏という豪華な3名による対談企画が実現した。
10周年を迎えて思うこと
――本日はよろしくお願いします。まずは「モンスターハンター」が10周年を迎えた今のお気持ちを聞かせてください。
辻本:正直、あまり実感がないんですよ。長かったか短かったかといえば、あっという間でしたね。そろそろガタが出てくる年齢になって、10年分、歳をとったなぁと痛感しています(笑)。この10年間の思い出としては、とにかく人付き合いが増えたこと。業界の内外の人とも知りあえて、いろんなアイデアや刺激をもらいました。恵まれた10年だったと思いますね。
藤岡:10周年とはいえ、振り返る前に次の作品の企画が始まったりしますからね。今年も去年も一昨年もずっと仕事が忙しくて、一昨年くらいかな、そういえば10周年がもうすぐだねっていう話をしました。ちょうど『MH4G』ともタイミングが合うし、何か一緒にやれたらいいねと。
小嶋:5周年パーティーをしましたが、そういうのが無いと周年って忘れてしまいますね。それこそ10周年展の準備をしていて、10年分の膨大な資料を見て「多いな!」と感じたのが実感した瞬間でしょうか。
辻本:5周年のときにつれてきた猫もだいぶ大きくなったよね。
小嶋:アイルーにそっくりの猫ですね(笑)。
――10年間、シリーズを制作してきて感じたこと、思うこと、得たものなどについて教えてください。
藤岡:ゲームを作るということがどういうことなのか、より理解はできるようになったかなと思います。
入社当時のまだデザイナーだった頃は特に、やりたいことをやっているという感じで、目先のミッションをとにかくクリアしていきながら集中的に作っていました。それが、ディレクターになって10年間、いろんな人と巡りあって、ゲームってこういう風に成り立っているんだって感じられるようになりました。
辻本:途切れなかったというのはシリーズとして大きいですよね。リリースが途切れなかったというのはもちろんですが、そのスパンだったり、盛り上がっている期間が途切れなかったと思います。
藤岡:ひとつのタイトルを作っても、ユーザーさんの遊び方や評判を見ていると、すぐにいろいろな課題が出てくるんです。課題をクリアしつつ、プラスして新しい要素や旬な気持ちでできるものを入れて変化させていかないと、10年間はもたなかったと思います。初代の『モンスターハンター』(以下、『無印』※ナンバリングシリーズの1作目『モンスターハンター』でタイトルに数字がないために開発内ではそう呼ばれていた) からそういう発想でした。今もこれだけのユーザーさんが一緒に盛り上がってくれているんだから、大きくは間違っていなかったんだと思っています。