藤岡:『MHP2ndG』を作るとなってから、今までの素材をフル活用してやるしかないと。今ほどGの作り方も確立できてなかった頃ですし、亜種を作るにしても一つひとつ作りこむ時間はなくて、とにかく一つか二つネタがあればいけるから、とにかくネタを出してはめていこうとかやっていました。ぼくはもともと携帯機の方にはあまり噛んでなくて、大枠とか世界観の設計に関わるくらいだったのですが、さすがに『MHP2ndG』のときはネタ出ししないといけないなと。それで一瀬のチームと一緒にアイデア出しをしたんですよ。

辻本:でも考えれば出るものですね。

『MH4』はターニングポイントになった作品

――では『MH4』については?

 

辻本:『MH4』は高低差を入れたことによりゲーム性の幅が広がって、今後のシリーズとして一歩踏み出す勇気を持てるタイトルになったことですね。今後、またこうしてシリーズを振り返ったとき、間違いなくターニングポイントになったと言える作品だと思います。

藤岡:モンハンで今まで変えられなかったことがたくさんあって、それを『MH4』では一度変えてみようとなったんです。知らないうちに保守的になっていないか、素直に向き合ってみたタイトルです。

――ですが、その前の「モンスターハンター3(トライ)」(以下、『MH3(トライ)』でも高低差のある水中エリアがありましたよね。

 

藤岡:ええ。ですが、水中はあくまで別フィールドで、『MH3(トライ)』では陸の方では今までの遊び方が担保されていたんです。それもあって水中では思い切ったことができたのですが、陸に関しては踏み出しにくい部分でした。せっかく上下に移動する楽しさがあるのに、それが陸と水中で切り分けられているので、ユーザー全員に伝わるものではなかったかもしれない。それで、『MH4』では思い切って怖がらずにグッとメスを入れてみたんです。

――たしかに『MH4』での高低差は水中とはまた違った新鮮さがありました。

藤岡:発売するまでは「モンハンじゃなくなるんじゃないか」と心配されたタイトルでもありました。こういう部分を変えるタイミングは難しくて、10周年を迎えるターニングポイントでもあったこの時期だからこそできたことなのかなと思います。

――そんな藤岡さんの思い入れのあるタイトルは?

 

藤岡:「モンスターハンター2(ドス)」(以下、『MH2(ドス)』)ですね。

もちろん、『無印』もディレクターとして初めてゲームに関わったタイトルなので別格ですが、シリーズを通してずっと引っかかっているのは『MH2(ドス)』です。すごくいろんなこともたくさんやったし、いろんな意味でやってしまったこともたくさんあるタイトルです。というのも、『無印』と「モンスターハンターG」(以下、『MHG』)ではやれなかったこと、やりたかったことを、そのままなだれ込ませて作ったんですね。やりたいことが溢れまくって、無理やり押し込んだ結果、生まれたのが『MH2(ドス)』なんです。

――今でも根強い人気を誇るタイトルですよね。

藤岡:ここにいる小嶋と、あとは『MH4』のメインプランナーの徳田という者も関わっていたタイトルなんですが、この2人がモンスターを可愛がりすぎるんですよね(笑)。

小嶋:わが 子ですから(笑)。胸が痛い話ですね(笑)。

藤岡:モンスターがハメられそうになると、すぐにカウンターを考えるんですよ。「もうガンナーとかいなくなればいいのに!」って言いながら(笑)。それで生まれたのが、クシャルダオラの矢返しなんです。

――そんなことが……(笑)。