藤岡:ちなみにラージャンはマスターアップの2週間くらい前に実装されたのですが、オンライン専用のモンスターだったので、チェックがなかなかできませんでした。
小嶋:よく戦うクエストに行くモンスターから優先的にチェックしていくので、ラージャンはもう最悪、「倒せたらすごい!」くらいのモンスターでええやろ! ってことになって(笑)。でもそれで絶対的存在になったので、結果的にはよかったと思いますね。
――『MH2(ドス)』といえばやけに硬い小型モンスターも思い出されますが……。
小嶋:『無印』から『MHG』、『MH2(ドス)』になってハンターがうまくなってきたところもあって、簡単に狩られすぎるのはどうだろうと調整した結果、一部の小型モンスターが強くなりすぎて、正直少し反省しています・・・。
藤岡:海沿いのヤオザミがいるルートは皆、行きたがらないっていうね(笑)。
小嶋:ただ、ゲームシステムの部分でも、いろいろと挑戦的なことができたのは大きかったですね。
辻本:武器の追加が一番多かったのも『MH2(ドス)』ですからね。
モンハンが携帯機へと展開した理由
――その後、モンハンは携帯機へと展開していくことになります。PSPを選んだのはなぜでしょう?
藤岡:皆で遊ぶという要素を、もうちょっとお手軽にしたいということがあって、そこをコンパクトにして出せないかと。PSPはハード的にも性能がよかったし、アドホック通信で遊べたら4人で遊ぶことの楽しさが普及できるんじゃないかという思いもありました。インターネット通信とは別にアドホック通信にも取り組めたので、そういう通信の仕組みみたいなものもいろいろと勉強になりましたね。
辻本:ポータブルシリーズは一瀬ディレクターのチームが制作したのですが、携帯機としてうまくパッケージングしてくれたと思いますね。
ちなみに『モンスターハンターポータブル』の1作目は、『MH2(ドス)』の前ですね。
小嶋:家じゃなくても遊べることで、クエストの時間を減らそうと割り切ったりもしましたよね。
藤岡:そういう意味ではユーザー環境を意識したタイトルだったとも言えます。それまではユーザーのライフスタイルを気にせず作っていたのですが、もうユーザーの環境を無視しては作れなくなりました。
――時代がスマホに移ってからはますます可処分時間の取り合いになっていますよね。ところで、モンハンが国民的ゲームとしてブレイクしたことを実感した瞬間はありましたか?
辻本:よく言うのは、『MHP2nd』100万本を突破したときですね。生活動線の中に、モンハンをやっている人を普通に目にするようになったんです。
藤岡:電車で遊んでいる人を見かけるようになりましたね。『MHP2nd』で一気に変わりました。
小嶋:知らない方の雑談で「ガンランス」って聞こえて来た時に、これ売れてるかも!?って思いました(笑)。
辻本:「100万本を目指して」とはいつも話してたのですが、そんな風景をみて「100万本ってこういうことなんだ」と思いましたね。
次の10年に向けて思うこと
――モンハンの今後についてもお聞きします。10周年を迎えましたが、次の10年に向けてどんな展開を考えていますか?
藤岡:モンハンという名前を途切れさせないように、色んなことにチャレンジしていきたいですね。
小嶋:イベントとかグッズとか、幅広く展開していきたいですよね。
辻本:うちは開発チームも開発だけをやるんじゃないんですよ。開発もグッズも宣伝も連動してやっているんです。開発陣はグッズやコラボ企画なんかもチェックしています。幸せなことに、モンハンとコラボしてくださる方は皆さん協力的で、モンハンに強いこだわりを持っていてくれるんです。
藤岡:「モンスターハンター・ザ・リアル」(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)のCMでリオレイアをCMで作ることになったとき、CGや音はこちらで監修したのですが、逆に先方から熱量の高い監修が入ったりして(笑)。すごくこだわった完成度の高いリオレイアを作り上げてくれたこともありましたね。
辻本:ゲーム単体のコンテンツがユニバーサル・スタジオ・ジャパンの協力で入れたってことが嬉しかったですよね。等身大モンスターを実現できるのなんて、あそこくらいしかないですし。