男性にできること(3) できるだけ鷹揚に構えて、相手を焦らせない
わが家での妊活期間において筆者がいつも心がけていたのは、「私自身が彼女をイラつかてはいけない(少なくともイラついてる様子を見せない)」ということでした。
仮に芳しい結果とならなくても、そこで女性を責めてはいけないのは当然のことです。責めたら妊娠するのであれば別ですが、そんなことはあり得ません。妻のストレスの原因を作っているようでは本末転倒です。
かといって「また来月がんばろう!」と明るさを押しつけすぎるのもケースによってはプレッシャーになってしまうため、逆効果になってしまうことがあります。言葉は難しいものがあります。
そこで男性にお願いしたいのは「ゆったりとかまえて対応する」という意味である「鷹揚さ」を持つことです。女性がストレスやプレッシャーにさらされているとき、そばにいる男性がずっしりかまえて対応することができれば、女性はほっとしますし気持ちが安心してきます。
そのうえで、食事や小旅行などの気分転換に誘ったりストレスをやわらげる工夫をしたいものです。ここは男性側の腕の見せ所でしょう。
男性にできること(4) お金の心配をさせない
妻の心配ごとをできるだけ減らす、という点で最後に考えておきたいのはやはり「お金」の問題です。
不妊治療の悩ましいことはすべてが医療保険の対象とならないことです。病気やケガの治療であれば本人負担は3割ですむわけですが、体外受精のように医療保険の対象外である治療を受けると、大きな費用負担となってきます。
このとき、治療費用の話題を告げられて狼狽するようでは妻のストレスは増大するばかりです。経済的負担をしっかりやりくりするのは男性の仕事だから心配しなくてもいいと、妻には心配なく日々を過ごすようにアドバイスしたいものです。しかしそのためには経済的裏付けが必要になってきます。
不妊治療まで進んだ場合、どれくらい費用がかかるかはそれぞれの事情によりますが、人工授精や体外受精に踏み切る場合、数十万円単位で費用が生じ始めます。最終的に費やす費用は100万円を超えることは珍しくありません。
筆者の場合、かかった費用は80万円程度でした。これは不妊治療としては少ない金額だと思いますが、家計としては大きな負担でした。しかも半年くらいの期間に一気にかかっているので、毎月の収入からやりくりできるレベルではありません。
こうしたお金の問題がハードルとなり、「お金が足りないので治療をしばらく先送りする」というのはとても強いストレスになります。その数カ月のあいだ、何もできずに年齢だけが過ぎ去っていくことになるからです。こうした問題を解決して、妊活の女性のストレスを軽減させるのは男性の役割だと思います。
金額的に大きな経済的負担に対応するにはその場しのぎのやりくりはNGです。早めの資金準備が欠かせません。自然妊娠での妊活の段階から、積立の定期預金などを活用してお金の準備をしておくべきです。また、ボーナスはできる限り貯めるようにします。準備額を一気に増やすチャンスだからです。
妊活において男性は、身体的な負担を妻にお願いすることになります。せめてお金の心配はさせずにすむようにしたいもの。男性がリードをとって積極的に準備していきましょう。
妊活にあたって「男性」が考えておきたいポイントを4つほどご紹介しました。どうしても当事者感覚が薄くなりがちですが、男性にもできることはたくさんあるはずです。
妊活がうまくいって子どもができたときはとてもうれしいものです。ぜひ夫婦が協力して妊活をがんばってほしいと思います。