豚ホルモンのスライスでビールを目論むが……

あきらめずビールを探して街を歩くと、またしても大通り沿いの古い建物に赤ちょうちんをぶら下げている店を発見。看板には「焼きチマキ・蚵仔煎(牡蠣の卵焼き)」とあり、仕事帰りの会社員風の男女がポツポツと歩道に並んだテーブル席を埋めている。

これは期待できそう。よしよし、酒のつまみにぴったりの黒白切(豚ホルモンのスライス)や滷味(醤油煮込み)もちゃんとある。ビールが入った冷蔵庫は見当たらないが、コンビニで買って持ち込めばいいと踏んで席に着く。

【台湾食べ歩きの旅】テイクアウトした黒白切(豚モツ/写真上)と滷味(醤油煮込み/写真下)をつまみに、コンビニで買った缶ビールで乾杯 

店員さんに「ビールありますか?」と聞くと、予想通り「ない」との回答。「じゃあ、コンビニで買ってきて飲んでもいいですか?」と聞くと、店員どうしが顔を見合わせて驚いた顔をする。「いや~、うちではそういうお客さんいないんで、ちょっと無理ですね」。

なんてことだ。こんなに美味しそうな酒のツマミを出す店で、ビール持ち込みお断りとは……。台湾では赤ちょうちん=飲み屋とは限らないのだ。

移動や街巡りで疲れた身体に、アルコールのごほうびは欠かせない。しかたなく豚ホルモンをテイクアウトし、コンビニでビールを買ってホテルに戻ることに。残念無念。

嘉義には数日滞在するので、明日こそはいい酒場に巡り合いたい!

(つづく)

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みつせ のりこ:90年代から台湾と関わり、台北で留学や就職、結婚や子育ても経験。現在は執筆や通訳、取材コーディネートの仕事で日本と台湾を往復している。著書に『台湾の人情食堂 こだわりグルメ旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾縦断! 人情食堂と美景の旅』『台湾一周!!途中下車、美味しい旅』など。株式会社キーワード所属。

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