【台湾食べ歩きの旅 #15】「正宗羊肉店」の大骨湯(骨付き肉のスープ)と羊肉の沙茶炒め。どちらも羊肉店の基本メニュー

首都台北から時計回りに台湾を一周しながら食べ歩きする旅も終盤にさしかかった。第二の都市高雄で1泊したあとは、大好きな台湾食材を求めて日本ではほとんど知られていない町を目指して北上する。

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羊肉(ヤンロウ)=ヤギ肉の美味しい町

好きな台湾の食べ物のなかでも上位に入るのがヤギの肉だ。

日本ではラムやマトンがよく食べられているが、台湾ではヤギが主流。味はラム肉とあまり変わらず、新鮮なものはくさみがなく、どう調理しても美味しい。

高雄や台南など南部の都市では特に好んで食べられている。

ただ、台湾産の新鮮なヤギ肉は高価で、生産量もコントロールされているので実際はなかなかお目にかかれず、ニュージーランドやオーストラリア産の冷凍ヤギ肉やラム肉が多く消費されているのが現状だ。ここでは、こうした肉をひっくるめて台湾風に羊肉(ヤンロウ)と呼ぶことにする。

高雄近郊には羊肉で有名な街、岡山(ガンシャン)がある。羊肉好きなら一度は行ってみるべきところだ。私はたいした情報もないまま高雄から台湾鉄路に乗り込み、岡山駅で下車することにした。

平日の午前中、各駅停車は空いている。そこに大きなリュックを背負った男性2人が乗り込んできた。60代だろうか、その風貌からして登山家に見えなくもない。

すると1人がリュックからおもむろに缶ビールを取り出し、座席でプシュっと栓を開けて飲み始めた。日本人に違いない。台湾の列車でビールを飲む台湾人は珍しい。

日本なら新幹線やJRのグリーン車で缶ビールやハイボールを開ける人は珍しくない。今回は私も気ままな台湾一周旅だが、この日本人2人組はさらに自由に鉄路で行き当たりばったりの旅をしているようだった。

「こんにちは。日本の方ですよね?」と話しかけ、羊肉を食べに岡山へ行くのだと伝えると、「へえ、それもいいなあ。降りてみようかな」なんて言う。

岡山駅は、想像通りやや閑散とした南部の町、という雰囲気。ただ、駅前で何やら大がかりな工事をしていて、高いところまで足場が組まれている。

【台湾食べ歩きの旅 #15】台鉄岡山駅前には足場が組まれ、大がかりな工事が行われていた。地元の人によれば、MRT(都市鉄道)の駅を増設中だとか

聞けば、地下鉄の駅を増設しているのだとか。高雄のMRT(都市鉄道)は長らく縦横に交わる橙線と赤線の2路線だけだったが、今は緑色のライトレール(環状線)も加わった。

赤線の最北端は岡山南駅だが、さらに北にある岡山駅にMRT駅の増設工事をしているということは、ここまで路線が延びてくるのだろう。

台北もそうだが、MRTがつながると郊外までの移動がぐんと便利になる。今はアカ抜けない岡山にもチェーン店がたくさんできて、よくもわるくも地方都市らしくなってくるはずだ。