唯一無二のフレンチトーストを食べさせてくれるレストランが横浜にオープンした。
『三井ガーデンホテル横浜みなとみらいプレミア』にできた『リストランテ エボルタ -ウニコ ポーロ(以下ウニコ ポーロ)』である。
こんがりと陽焼けしたような美しい焼き色。卵の黄身を思わせるおいしそうな色。鼻に近づけた途端、甘い香りに魅了された。
けれど、ナイフで切ろうとした瞬間、最大の驚愕を味わった。表面こそカリカリしていたものの、その中心はプリンのようにやわらかく、プルプルしていた。
小さく切ったフレンチトーストを口に入れ、数回噛むと舌のかなたに消えた。
鼻孔をくすぐる卵とバターの甘い香り。
プルプルした、やわらかい生地。これまで食べたことのない食感とその芳しい香りにノックアウト。
こんなにプルプルのフレンチトーストは初めてかも
「ああ、もうひとつ食べたい」
誰もがそう思うはず。でも、すぐにそのわがままがかなう。なぜなら『ウニコ ポーロ』のフレンチトーストは朝食ビュッフェで提供しているから。
つまりおかわり自由。
「『至福のプレミアムフレンチトースト』と命名させていただきました」と微笑むのは、エグゼクティブシェフの手塚真規さん。
手塚さんは有名ホテルのフレンチトーストを食べ歩き、フレンチトーストの研究にいそしんだそうだ。
「食パンで作る店が多いと思いますが、バターの風味とコクを愉しめるブリオッシュを選びました」
ブリオッシュはバターと卵をふんだんに使用したリッチなパン。手塚さんは提携するパンメーカーに食パン型のブリオッシュを開発してもらった。
ブリオッシュにした理由はもうひとつある。
「耳を切りおとしたブリオッシュに卵黄(千葉の卵『茜美人』を使用)とクリームと砂糖で作った卵液に6時間以上漬け込みます。生地に気泡が多いブリオッシュは、卵液をたっぷり吸ってくれるのでプリンのようにプルプルになります」
プリンのようになったパンをコンベクションオーブンに入れ、卵を少しだけ固める。
これを客の目の前にある鉄板で1つずつ丁寧に焼き上げる。
開発中「甘すぎではないか」という意見が出たことから試行錯誤をくりかえした。砂糖を減らし、ココナッツオイルをぬって焼くフレンチトーストを完成させた。
「糖分を下げ、ココナッツオイルの甘い香りを際立たせることにしました。フレンチトーストを食べるためにこのホテルに泊まりたいと言ってくださるお客様もいらっしゃいます」
その人は女性だろうと思ったが、大ハズレ。フレンチトースト好きは淑女に限った話ではないようだ。