静かにしなくてはならない場所で、子どもをおとなしくさせるのは大変ですよね。
病院の待合室で飽きてしまい、ソファーの背に上る子にママがかけた言葉は「危ないから下りなさい」。
でも、公園で滑り台やジャングルジムで遊んでいる子どもにとって、ソファーの背はちっとも危なくないのです。
こんな風に、無意識にママの口から飛び出す“子どもにとって納得できない叱り方”があります。
『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』の著者の立石美津子が詳しくお話しします。
「危ないから下りなさい」でなぜ止めないか?
高いところに上ると視界が広がり気分がいいです。だから公園にはそれを満たす遊具があり、子どもはジャングルジムに上ったり滑り台に上ったり、ブランコを思い切りこいだりします。ちょっと高いところを見たら上ってみたくなるんです。
その流れで、ソファーの背やテーブルの上に上りたくなるんですね。
そんなとき、「危ないから下りなさい!」と注意されたら?
ママが怖いので、子どもは一応は下ります。でも、心の中ではきっと「危なくないんだよ~」と叫んでいるかもしれません。(確かに危なくはありません)。その結果、親が目を離したすきにまた同じことを繰り返すのです。
子どもが“パブロフの犬”になっているかも…
犬に餌をやる前にベルの音を聞かせていると、だんだんとベルの音を聞いただけで唾液がでるようになる。これを“パブロフの犬の実験”と言います。条件反射です。
子どもに「こら!」「ダメ!」「いい加減にしなさい!」と怒鳴るママ。「○○ちゃん!」と大きな声で子どもの名前を叫んだだけで終わらせるママ。
この号令に子どもは条件反射で一瞬言うことを聞きますが、「何故、それをしてはいけないのか」をわかっていないので、直ぐに同じことをしてしまいます。
こうして毎朝、毎晩、親は頭に角を生やして同じことを叱り、まさに“年中無休の怒り屋”になってしまうのですね。
正当な理由を付けよう
子どもをしつけるときは、意味のない理由をつけるのも、号令のように怒鳴るのも止めましょう。
そして、どんなに幼い子であってもしっかり「何故、それをしてはならないのか」話をしましょう。
例えば…病院のソファーの背に上ったときは「危ないから下りなさい! 」ではなく、
- 「病院は具合が悪い人が来るところ。ソファーの背に上って遊んではいけないよ。自分の順番がくるまで静かにしていようね」
- 「ここはお家ではないんだからね」
ソファーの上で跳ねるときは「危ないよ!止めなさい!」ではなく
- 「ソファーはトランポリンじゃないのよ。座るもの。ピョンピョン跳ねるのは止めようね」
テーブルの上に乗るときは「落ちたらケガするよ」ではなく
- 「テーブルは食事をするところ!足を乗せてはいけないよ」
バスの中で騒いだときは「ほら、怒られるよ!」「ママ怒るよ!」「他のお客さんから怒られるよ!」ではなく
- (自家用車を指して)「バスの中はおうちの車ではないの。色んな人が乗る乗り物だから小さい声で話そう」
電車の中で走り回ったときは「こら!走らないで!」「怒られるよ!」ではなく
- 「電車は公園やお家ではないよ。電車の中で騒ぐんだったら、次の駅で降りて歩いて行こう」
それをしてはならない理由を理解すれば、親がそこにいなくても子どもは次第に正しい行動をとることができるようになります。