まずはかけ湯から

 

当たり前ですが、まずは「かけ湯」もしくはシャワーで体を流しましょう。

お前らみたいな田舎者はでっかいお風呂を見ると「び、琵琶湖がありよるゥゥゥ!」なんてテンションが上がって服をスポーンと脱いでそのまま湯船に入りがちですが、これは琵琶湖じゃなくて公衆浴場なので、体をキレイにしてから入るのが当然のマナーです。

お前らみたいなドブ臭い人間がそのまま湯船に入るのはテロみたいなものなので、ちゃんと体を流しましょう。

これを破ると、だいたいの銭湯に一人はいる「銭湯おじさん」にこっぴどく叱られます。

かけ湯は、そもそもお湯の温度に体を慣らす意味もあります。足から頭にかけて、心臓に遠い位置から順番にお湯をかぶりましょう。

 

 

 

体を温める

 

かけ湯をしたら、次はお湯に浸かって体を温めましょう。お湯の温度にもよりますが、だいたいは5分~10分くらい浸かるのがベスト。

ちなみにこのお湯の温度は画像の通り38℃と低めに設定されていますが、これは光明泉名物の「炭酸泉」で、低い温度でゆっくり浸かれるような温度設定になっているからであります。

 

 

加藤「銭湯神のヨッピーさん、ちなみに炭酸泉ってどんなお湯なんですか?」

 

 

ヨッピー「そうだね。まず血行促進があるね。炭酸泉ってその名の通り炭酸ガス、つまり二酸化炭素が含まれたお湯なんだけど、二酸化炭素が肌から吸収されると血液中の二酸化炭素濃度が上がり、血液中の酸素濃度は相対的に低下していく。すると脳が『このままだと酸欠になるから血流を増やせ!』っていう指令を体中に出して、どんどん血管を拡張して血流が増えるっていう寸法みたいよ。それが結果的に血行促進につながるってことだろうね。血行促進につながるっていうことは肩こりの解消とか冷え性、むくみの解消につながるだろうし、筋肉痛をほぐすのにもいい。なにせサッカーの日本代表が疲労回復に利用してるくらいだからね。まあ、入浴剤で炭酸ガスが出るタイプのやつも多いけど、あんなもんでお湯にちゃんと炭酸ガスが溶け込むかっていうと微妙なところだから、炭酸ガスの効果を最大限に得たいなら、やっぱり炭酸泉のある銭湯に来たほうがいいね」

 

 

加藤「…はぁ」

ヨッピー「炭酸泉だともともとは大分県の長湯温泉が有名なんだけど、最近は導入する銭湯も増えてきているみたいよ。この近くだと表参道の清水湯にも炭酸泉が導入されているね。清水湯も改装してキレイだし、場所柄、芸能人とかが利用することも多い。僕、吉本の芸人さんたちと何回かでくわしたことがあるけど、その人たちも炭酸泉にはゆっくり浸かっていたわ。導入するところが増えているっていうのは、導入するコストがそんなにかからないという利点があるのかもしれないね。このお湯が38℃なのに寒く感じないのも、炭酸ガスの効果で普通のお湯より2~3℃くらい体感温度が上がるからだろうし、お湯に浸かっている部分だけ肌が真っ赤になってるでしょ。これって血行がよくなっているからじゃない!? 炭酸泉は10~15分くらいゆっくり浸かっているのがいいって言われてるから、温度を低めに設定しているところが多いね。炭酸泉を導入した銭湯だと、おじいちゃんが昼間っからぼんやり浸かっている姿を見ることが多いわ」

 

 

加藤「…(話が長すぎるな…)」

 

体を洗おう

 

「おでこに汗がにじんできたかな…」というくらいに体が温まったら、体を洗います。

なぜ最初にお湯に浸かるかというと、血行をよくすることで毛穴を開き、汚れを落としやすくするためです。これがユニットバスだと、必然的に体を洗う→お湯に浸かるという逆の流れになるのでユニットバスの人にこそ銭湯通いをおススメしたい!

体が温まっていれば、ボディソープなんていう刺激の強いものを使わなくても、お湯で濡らしたタオルで体を軽くこするだけで、ちゃんと汚れは取れると思います。

洗う順番は髪の毛→顔→体→足といった具合に、上から順番に洗いましょう。

これを逆にすると、せっかくキレイにした体にシャンプーや髪に付いていた汚れが流れて落ちてきますので、上から順に洗っていくというのがセオリーです。

 

  

 

交互浴開始

 

体を洗ったらまた湯船に浸かりましょう。体を洗っている内に下がった体温をまた上げます。

なぜ体温を上げるかというと…。

 

 

そう。水風呂に入るためです。

 

加藤「ちびびびびぃ~! めっちゃ冷たい~~~! なんで温まったのに、わざわざ水風呂なんかに入るんですか…?」

ヨッピー「こういう風に、温かいお湯と冷たい水風呂に入るのは『交互浴』って呼ばれているお風呂の入り方なんだけど、自律神経の動きをよくするっていわれているんだよ。自律神経って、交感神経って呼ばれる、運動したときに血圧があがったり脈拍があがったりする作用をもたらす神経と、副交感神経っていう、リラックスしてるときに血圧が下がったり脈拍が減ったりする作用をもたらす神経のバランスをつかさどっているんだけど、現代人は運動しなかったりエアコンで年中同じ温度の中で働いてたりするから、この交感神経と副交感神経の切り替えスイッチがバカになってるんだよ。そのせいで冷え性や肩こりなんかの原因になるとも言われている。こうやって暖かいお風呂に入って交感神経を高めたり、水風呂で副交感神経を高めたりっていう、いわば切り替えスイッチの訓練をすることで自律神経が徐々に整えられていくんだよ。結果、不眠が解消されたり冷え性が治ったり、ストレス解消や疲労回復にもバッチリっていう僕がおススメする最高の入り方が交互浴ってワケ。一般家庭に水風呂なんてまずないから、こればっかりは銭湯に来ないとできない入浴法ってことだね。冷水シャワーでもいいみたいだけど、個人的にはやっぱり水風呂に浸かるほどは実感できてないなぁ」

 

 

クソ長い解説の箸休めとしても機能する光明泉の富士山のペンキ絵。

やっぱり銭湯にはこれがないとね~!

 

※この記事は銭湯神を名乗るヨッピーの主観による感想であり、登場する各銭湯が唱えているものではございません。