人に頼ることのメリット
実際に家事代行を使った人から出た感想で興味深かったのは、「予想以上に部屋がキレイになって、気分もあがった!」というものでした。
自分でやれば、確かにタダですが、気分が上がるほどキレイにするのは大変ですし、ほとんどの人が、気分が下がり過ぎない程度にキレイにするのがやっとなのではないでしょうか。
子どもが小さいと、床に食べこぼしをすることもしばしばですし、それを毎回掃除するだけで精一杯ですよね。
お金を払ってまで家事代行サービスを利用する利点は他にもあります。3時間で14品のおかず作りおきができるのは、プロならではでしょうし、あらゆる汚れの取り方を熟知して掃除に活用するのは、素人にはなかなかできることではありません。
また、家事から解放された時間で、自分を労わることも可能になります。子どもに対しても余裕をもって接することができますよね。
なにより、「人に頼ってもいいんだ」と実感できる体験は、何かと自分さえがんばればマインドに偏りがちなママの肩の力を抜くのに役立つでしょう。
人気ドラマ『逃げ恥』から学ぶこと
それでもやはり、家庭を安らげる場として維持していくにあたって、一番のパートナーは夫であることには変わりません。
夫婦という近い間柄から、ついお互い甘えが出て、感情的になってしまうこともあるでしょう。ですが、最初は好きあって一緒になったのですから、なんとか現状を打破して良い方向に持っていきたいではありませんか。
近年の大人気TVドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』は、メインキャストの男女の関係が、雇い主と従業員という立場から始まり、恋愛が先ではなく後から発生した結婚を描いたものですが、原作を紐解くと、結婚して数年以上たつカップルにもかなり参考になる言葉がいくつも見受けられます。
原作の9巻で、就職を決めたみくりは、平匡から「もう雇い主と従業員ではなく、家庭を協力して運営する共同最高経営責任者だ」と伝えられます。
そして月イチで、経過報告会議を開くわけですが、そこでは、通常の家庭では感情が邪魔して冷静に伝えられないお互いの不満が、比較的平易な言葉で言い交されます。
「分担って 実は 結構やっかいじゃないですかね。
やって当たり前ってなって、できてないとイラッとするっていうか・・・しかもそのできてない基準は自分の中の採点で相手にはわからないっていう」『逃げる恥だが役に立つ』(海野つなみ著/講談社)
みくりは平匡より家計にかかるお金は出していない分、家事分担は平匡より多めです。そのこと自体には納得はしているのですが、平匡が担当している家事の質に対するモヤモヤを告白しています。
これは、夫に洗ってもらった食器に後から落としきれていない油汚れを発見した時の妻の気持ちそのままですよね。
家事分担をきっちり分けることが平等とは限らないという、多くの人がなんとなく感じているけれど、はっきりとは口に出せないモヤモヤをズバリと言い表していると思いませんか?
反対に、平匡は、みくりの掃除の質の低下が気になると発言しています。気になるところはそれぞれ違うのなら、いっそ分担はやめにして、気になる人がやればいいのでは、とみくりは提案します。
基本、自分のことは自分でして、その上で共用部分や食事などのは家事は自分がやるが、それはあくまで好意で、というみくりに、それではみくりに不公平ではないか、と平匡。
もしも好意で人になにかをしてもらったらどうするか、とさらに二人は話し合い、「役割と義務ではなく、感謝と好意で生活を回していこう」というところで落ち着きます。
自分の言い分ばかり押し付けるのではなく、ニーズの違いを確認し、よりよい打開策を練ることは、きれいごとのようにも感じますが、大事なことなのではないでしょうか。
「分担にすると、お金をより多く出してくれている平匡への感謝も感じなくなる」とみくりも言っています。
夫を「月一回給料を運んでくる人」にしないためにも、ぜひ、家事の現状把握から始めて、よりよい家庭生活のための改善プランを立て、定期的に経過報告会議もとい家族会議を開くことをお勧めします!
その上で、うまく家事代行サービスを利用することも、検討してみてはいかがでしょうか。
ちなみに蛇足ですが、会議中は敬語を使うなどすると、より冷静に話し合えるかもしれませんね。