――そして『「擬死」』ですが。

SaZ:これは「SaZイチオシ」って書いておいてください。なんせフルで一曲聴くとすげえやな気分になるという。重たい重たい。それに「擬死」って造語だったつもりらしいんですけど、あったんでしょ? 偶然。

千秋:偶然なんですけど、結構グッと来る意味なんです。

SORA:最初の歌詞の二行は、自分にそういう時期があったなあって思いましたよ。

メンバー一同:きっしょ…(笑)。

SORA:中学生の時に思ってましたよ。俺いらねえのかなあって。だって学校行ったら「よぉクズ!なんで学校来たんだよ」って先生に言われるんですよ。そりゃもう「ちゃんと俺見ろよ」ってなりますよね。俺そんな扱いしかされてなかったんですよ。ホントに。あ、今ちょっと泣きそうになってきました。思い出すと…。

千秋:でもお前は「進むことに臆病じゃなかった」んだろ? 俺は「臆病」だったから(笑)。(ここで何故かものすごい変顔を決める千秋さん)

――今の千秋さん、すごいムカつく表情なんですけど…。これは実体験なんですか?

千秋:実体験ってか、皆思うことじゃないですか? よく最近周りから「遊びで(音楽活動を)やるな」「趣味でやってるんじゃないだろ」って言われるけど、「いや遊びだろ」って。俺は完全に趣味の延長線上でやってるから幸せですって話なんですけどー。でもリリースするたびに、「こうやったほうが良い」って意見もくるじゃないですか。もちろん聴く人が増えたら関わってくる人も増えるし、お客さんからも「こういう曲がほしい」みたいな期待もあるだろうし。けれど「そんなんでええんかな」ってふと感じますよ。こういうことは誰でもあることだと思います。

――次は『さぁミルクを飲みましょう』。これは歌詞のテイストが他とかなり違うというか、「君が作るグロい世界観は昔を思い出させてくれるから。きっと売れるってさ」から始まっていて「見当違いの解説を披露するインタビュアー」など、私小説的というか…。

千秋:歌詞は前からあったんですけど、実際に似たようなことが起きたから、なのでインタビュアーの話じゃないといえばないんですよ。前からめちゃくちゃ言われてたんですよ。俺別にグロい世界観好きじゃないんで! それに『肋骨少女』だってグロくないんですよ。すべてオブラートに包んだ結果ああいう歌詞なんです。だってあんなの実話なわけじゃないですから。

あんなにかわいい曲なのに、「すごいグロい曲ですね」ってザックリまとめられちゃうのが…。僕の力不足もあると思うんですが、それでニヤニヤしてくる人が純粋に嫌で。メンバーですらわかってなくて、「誰も『肋骨少女』のことわかってくれないんだよ」ってメンバーに聞いたら誰もわかってなかった(笑)。

SaZ:むずいんですね。

SORA:そういう葛藤を込めて書いた曲なんじゃないですか。それに歌詞だと「ドラムの人かっこいい」らしいですよ。

千秋:「ギターの子は」の部分は困りましたね。結局「不思議ちゃん」にしましたけど。

――不思議ちゃんなんですか?

キラ:違いますよ…。せめて「不思議くん」ですよ…。

SaZ :だからそういうところが不思議なんじゃない?

――次行きましょう、『軽蔑』。これまでに無い感じのロックチューンというか。

千秋:そうですか?俺こんな曲ばっかり作ってますよ。バンド始まる前からありましたよ。

SaZ:めっちゃいい歌なんですよ。

千秋:いい曲かどうかは置いといて、これはある意味ラブソングです。

SaZ:そうなの? ちょっと聴き方変わるわ。

――レコーディングの時は…。

千秋:ってか俺らレベルでレコーディングの話あんまりしても意味なくないっすか? 機材紹介みたいな写真とかないと意味無いですし。

キラ:僕は「ハードオフ」のね…。

SaZ:なんで基本的に中古なの?

千秋:「ミックスは全部SaZくんがやって、いつも違う環境があります」くらいでいいじゃないですか。

SORA:ドラムとしてはライブでやってすごい気持よかったんですよ。カウントしてから終わるまで一瞬で終わった感じがして。

SaZ:意外と僕は忙しいんです。フレーズも動いてるし、コーラスもしてるしって感じで。

千秋:これがDEZERTっぽくないと思われるのであれば、ある意味嬉しいですね。そもそも「DEZERTっぽい」っていうのがよくわかんないですけど、こういう引き出しもありますって。

バックナンバー