バスケの青春物語が卓球に、フェンシングに?

『ダッシュ勝平』六田 登

■ここが超展開!
バスケマンガ→卓球マンガ→フェンシングマンガ→デスマッチ

【本文】
主人公は青林高校の坂本勝平。背が低くお調子者で、純白のパンティが大好き。バスケの知識はまったくなかったが、その抜群の運動神経を買われてバスケ部に入部。チビというハンデをものともせず、独自の秘技を編み出し、強豪チームを次々に打ち破っていく──。

バスケマンガの先駆け的な作品で、79年から週刊少年サンデーで連載されました。中身はコミカルですが、勝平のヒロイン茜ちゃんに対する一途な気持ちや、選手同士のライバル心が巧妙に描かれ、「さすが六田 登先生!」と、今読んでも、うならされる作品です。

 

勝平やライバル選手の人間離れした秘技が見どころで、ぶかぶかのユニフォームを膨らませて空中浮遊する「トキオ」、ボールを持った手を高速で動かして残像で幻惑する「千手観音シュート」など、今でも他作品で焼き直して使われるワザの原形が登場しました。

 

そんなバスケマンガの名作「ダッシュ勝平」でしたが、大会での優勝を機に変化が訪れます。勝平は卓球部に入り、ここから一転して超絶卓球マンガになるのです。ピンポン球とラケットで発生した静電気が空中放電し、相手を倒す「Uターン電気ショックスマッシュ」など、秘技にはさらに磨きがかかります。

 

ダッシュ勝平 コミックの表紙に見るダッシュ勝平の内容の変遷。バスケマンガで始まり、卓球マンガになり、いつの間にかフェンシングマンガに……。

その後、学校の成績の悪さを理由に、なぜか卓球部にいられなくなってしまった勝平は、フェンシング部に入部。最後はバスケのような謎のデスマッチで、血しぶき飛び散る戦いを繰り広げるという、超展開を見せました。

ただスゴイのは、その間も大人気でついにはアニメ化。アニメでは、コミックに輪をかけて様々なスポーツに挑戦するというオリジナル展開もありました。
しかし、記憶の中では「ダッシュ勝平=バスケマンガ」という人も多いのではないでしょうか?