巨大化する超人ギャグマンガが、シリアスプロレスマンガに

『キン肉マン』ゆでたまご

『キン肉マン』ゆでたまご

■ここが超展開!
巨大化して戦うウルトラマン的ギャグマンガ→超人プロレス友情マンガ

1979年から1987年に週刊少年ジャンプで連載された「キン肉マン」は、友情パワーを力の源にする正義超人が活躍する格闘マンガで、プロレスをベースとした超人ワザを繰り出しながら、超人たちの友情と葛藤を描いた作品です。アニメ化され、当時の小中学生は夢中になって“キン消し”こと「キン肉マン消しゴム」を集めました。今も続編が、週刊プレイボーイ web comicで連載中です。

超人プロレスマンガとして知られるキン肉マンですが、連載当初は地球の平和を守るヒーローになりたいダメ超人のギャグマンガだったことはご存じでしょうか?

地球を襲う怪獣や異星人に対して巨大化して戦うという格闘スタイルで、手をクロスしてビームを発射するシーンなども散見され、どう見てもウルトラセブンなデザインといい、どちらかというとウルトラマンに近いものでした。ただし、ギャグの合間のどつき合いなどで作者がプロレス好きだということは、連載当初から見え隠れしていました。

キン肉マンに転機が訪れるのは、ロビンマスクが登場した「超人オリンピック編」です。週刊少年ジャンプのお家芸である「格闘大会モノ」の走りでしたが、当初はまだまだ巨大化やギャグが多用されていました。

超人オリンピックで優勝した後、アメリカ遠征でハワイでのプリンス・カメハメ戦を経て内容は激変。一週間の特訓でカメハメから48の殺人技を伝授された後は、超人プロレスマンガを突き進むことになったのです。

ちなみに、その後の世界超人タッグ選手権で、試合内容は完全にシリアスな格闘モノになりますが、次の超人オリンピックまでの間には、思い出したかのようにニンニクを食べて巨大化したり、おならで空を飛んだりというシーンが急に登場します。設定や矛盾に縛られず、そのときどきのエピソードを最大限に盛り上げるというゆでたまご作品の醍醐味ですね。