ついに…秘密兵器登場!?
自身に渇を入れるため、貴重品入れから「アレ」を取り出すワタクシ。
ARuFA「何ですか? それ」
ゴトウ「これは…アイカツ! 星宮いちごちゃんのマスコットだ」
ゴトウ「そしてこちらは、アイカツのハンカチ。1年ほど前に開催された期間限定ショップで購入したものだ」
ARuFa「……?」
ゴトウ「アイカツは子ども向け作品ということで、フィギュアやグッズなどの展開に非常に慎重な姿勢を取っている。なので、これだけの人気作品でありながらグッズは非常に少ない。大人の使用に耐えるものとなるとなおさらだ。しかし実際のところアイカツのアニメは、大人が見ても十分に楽しめるものになっている。現に、公開初日に見に行った劇場版では、若干泣きそうになった」
ARuFa「…わかりました。じゃあそのいちごちゃんに見守ってもらって、がんばりましょうよ 」
ナイスアイディアだ。熱く話し込んでいる我々を、店員さんや常連らしき他のお客さんが非常にアレな眼差しで見ているが、まあこの際なのでよし。
というわけで、ベンチにいちごちゃんを置いて、ソルティライチを横に…
ゴトウ「あ! ああっ!」
ARuFa「今度はどうしたんですか!」
ゴトウ「き、奇跡が起きた!」
ARuFa「奇跡? な、何ですか?」
ゴトウ「さっき何も考えずに買ったソルティライチだけど、いちごちゃんの弟の名前"らいち"っていうんだ!」
ARuFa「てことは…図らずも、姉弟が揃ったということですか!」
なにげなく買ったドリンクが、ヒロインの弟の名前と一致…44年生きてきたが、こんな偶然にはお目にかかったことがない。
役者は全て揃ったようだ…。よし! 一段階難しい垂直の壁の、さらに7級に挑戦だ!
ホールドをチェック、コースを確認して…
よし! 行くぞ…!
ARuFa「…(どうしたことだ? 先ほどまでとオーラが違う…ま、まさか…本当に、こんな小さなマスコットが…力を…!?)」
アイ
カツ
アイ
カツ!
ゴトウ「はあ…はあ… 」
ARuFa「…!?(もう一歩なのに…ホールドが難しい位置に…! ダメなのか…!?)」
アイ… くっ…! アイ…!
ARuFa「…!!(がんばれ…! 神よ…! 奇跡を…!!)」
アイ…!!
ARuFa「カーツ!!」(実際は叫んでいません。ジム内で騒ぐのは慎みましょう)
人はなぜ壁を登るのか。
目の前に巨大な壁が立ち塞がった時、逃げるのはたやすい。
しかし、一歩ずつ困難を乗り越えていくことで、その壁を制覇することができる。
そうして登った壁の先には、今まで見えなかった世界が、広がっているに違いない。
ARuFa「すごいじゃないですか! 正直、垂直の壁なんて行けるはずないと思っていましたよ!」
ゴトウ「へへ…まあ、ざっとこんなもんよ」
ARuFa「特に最後のホールド。遠かったので無理かと思ったんですけど、よく登れましたね」
ゴトウ「それが、自分でも不思議なんだ。あの瞬間、なぜか力が湧いてきて…」
…というわけで初体験のボルダリングでしたが、想像以上にハードなものということが分かりました。想像以上に不自由で、ひたすらに孤独なスポーツ。しかしだからこそ、クリアしたときに得られる達成感はすばらしい。
今後、いちごちゃん達が崖を登るシーンを見る時は、ますます臨場感を感じることができるはず…。そう考えながら、ジムを後にしたのでした。
〈END〉