『未確認で進行形』の『とまどい→レシピ』

『月刊少女野崎くん』といい、この『とまどい→レシピ』がオープニング曲に使用された『未確認で進行形』といい、今年の動画工房の勢いと制作作品のクオリティは本当に凄かったですよね。今年、大人気のアニメーション制作会社さんです。

そんな動画工房の素晴らしいアニメーションも目を引く『未確認で進行形』の『とまどい→レシピ』も、個人的な2014年のアニソンベスト10から決してオミット出来ない楽曲。「ふぅふぅらったった」という抜群の語感を持つリリックから始まり、物語のストーリーや劇中でキーアイテムとなるお菓子の名称で巧みにデコレーションしたチャーミングな歌詞で突っ走る。

物語の主役である3人の女の娘、小紅、紅緒、真白ちゃんの3人組ユニットである「みかくにんぐッ!」によるヴォーカルもナイス! 何より、この歌と音がアニメーションに重なった時の高揚感が凄いんです。滑らかに動きまくるアニメーションにシンクロしたメロディとリズムは、視覚的にも聴覚的にもとにかく気持ちが良くて、ひたすらに楽しい気持ちにさせてくえます。アニメのオープニングやエンディングに使われる楽曲って、やっぱりアニメーションと一緒に観てこそおもしろいのだな、なんてことを再認識させてくれた1曲。

作曲を担当したのは、ネット発の音楽クリエイターで、ヴォーカロイド関連の楽曲を動画サイトにアップしていたというJunkyさん。Junkyさんは、エンディングの『まっしろわーるど』も制作されており、こちらもポップなメロディと、真白ちゃんのキャラクター性を凝縮した歌詞、そして、デフォルメキャラがちょこまか動きまくるアニメーションに惹きつけられる名曲です。
 

『僕らはみんな河合荘』の『いつかの、いくつかのきみとのせかい』

『有頂天家族』のエンディング曲『ケセラセラ』における洗練されたサウンドで、アニソン界に颯爽と登場を果たしたバンド、fhana(正式なバンド表記は、最初の"a"上にアクセント)。

『ぎんぎつね』の『tiny lamp』や『ウィッチクラフトワークス』の『divine intervention』、そして『天体のメソッド』の『星屑のインターリュード』と、コンスタントにアニメ主題歌を発表し、しかも、どの楽曲も異常にクオリティが高い……という脅威のバンドですが、2014年の彼らの楽曲の中で、特に印象的だったのが『僕らはみんな河合荘』オープニング曲の『いつかの、いくつかのきみとのせかい』。

この曲の何が凄いって、これだけアコースティックで温かなサウンドにも関わらず、低音を打ち込みで担っていることです。非常にナチュラルなバンドサウンドを鳴らしているにも関わらず、実は一般的な"バンド"に欠かせないドラムとベースのリズム隊がいないという、ちょっと逸脱をした編成となっているfhana。しかしながら、その音はヒューマニズムに溢れていて機械的な無機質さや冷たさは全くありません。

そういったメンバー編成、楽器構成からアウトプットされる音の意外性。そのおもしろさが特に色濃く出ているのがこの『いつかの、いくつかのきみとのせかい』ではないかと私は思うのです。来年、リリースされる予定のアルバムも非常に楽しみですね。

ちょっと不器用で、ちょっと人として残念で、だからこそ愛おしい登場人物たちが登場する『僕らはみんな河合荘』の世界を彩ったfhana。昨年の『ブラッドラッド』のオープニングに続いてのタッグとなった宮繁之監督と米たにヨシトモさんによるオープニングアニメーションも素晴らしかったです!