仕事や人間関係、家庭などのちょっとしたことでイライラしたり、急に気分が沈んだり……。そんな「気分のムラ」に悩んでいませんか? じつは、気分のムラは単なる性格の問題ではなく、自律神経の乱れやホルモンバランスの変化、ストレスの蓄積などが大きく関係しています。

この記事では、気分のムラが起こる原因を解説し、今日から取り入れられるセルフケア方法や、おすすめの漢方薬について紹介します。

気分のムラが起きる原因は?

ストレスがたまったり、自律神経やホルモンバランスなどが乱れたりしていると、気分のムラが起きてしまいがちです。なぜ気分のムラが起きるのか、具体的に見てみましょう。

1.ストレス

ストレスは現代人にとって切っても切り離せない存在です。仕事のプレッシャーや職場の人間関係、家庭内での悩みなど、日常的に感じるストレスが積み重なると、自律神経のバランスが崩れて気分の浮き沈みを招きやすくなります。

とくに「感情を抑えるクセ」がある人ほど要注意です。自分の本音を飲み込んでしまうことで、知らず知らずのうちに心が疲弊し、ある日突然爆発してしまうこともあります。

また、「このくらいは我慢しよう」と思いがちな小さなストレスでも、積み重なることで気分のムラにつながりやすくなります。

2.自律神経の乱れ

自律神経は、血圧や体温調節、呼吸、消化など、心とからだの健康を保つために必要な基本的な生命活動を維持する重要な役割を担っています。自律神経には交感神経(活動モード)と副交感神経(リラックスモード)があり、両者がバランスよく働くことで、心身の安定が保たれているのです。

しかし、ストレスや不規則な生活習慣が続くと、この切り替えがうまくいかなくなり、自律神経が乱れてしまいます。その結果、なんとなく落ち着かない、イライラする、やる気が出ないなどの気分のムラがあらわれやすくなります。

また、寒暖差や気圧の変動なども、自律神経に影響を与える要因です。とくに季節の変わり目には、気候の変化に対応しようとして自律神経の負担が大きくなり、気分のムラが起きやすくなります。

3.ホルモンバランスの変化

月経周期や妊娠、更年期など、女性特有のホルモンバランスの変動が、感情面にも影響を及ぼすこともあります。

たとえば、月経前の黄体期には「プロゲステロン」というホルモンの分泌量が増加します。プロゲステロンが代謝される際に作られる「アロプレグナノロン」は、本来不安を抑える効果がありますが、アロプレグナノロンの作用が弱いと情緒不安定になりやすくなるのです。

また、更年期には「エストロゲン」の分泌が急激に減少することで、自律神経のバランスが乱れ、不安感やイライラなどが増えることもあります。エストロゲンは「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンの分泌にも関与しており、女性ホルモンの減少は気分の低下にもつながるのです。(※1)

4.生活習慣の乱れ

睡眠不足や偏った食事、運動不足といった生活習慣の乱れも、気分のムラを引き起こす大きな原因です。

とくに睡眠は重要で、脳の回復や感情の整理を担う時間です。十分な睡眠が取れていないと、脳の働きが低下し、ちょっとしたことでイライラしたり、ネガティブな思考に引きずられやすくなります。

また、栄養バランスも心の安定に影響する要因です。からだに必要な栄養が不足している状態が続くことで、脳や自律神経などの働きが鈍くなり、感情のコントロールが十分にできなくなります。