実はかなり変化していた! 個性的なキャラクターたち
――まる子の友だちの中にも、初期とキャラクターが変わった人はいますか?
高木: 藤木や永沢は少しアクが強くなっていますよね。永沢は家が火事になってしまった可哀相な少年ですけど、最近はそのバックボーンを知らない視聴者も多いんじゃないかな? というところで皮肉屋さんの一面を少し強めに出すようになりました。
――野口さんも表現が難しいキャラクターじゃないですか?
高木: そうですね。野口さんも最初はお笑い好きのちょっと暗めの少女だったんですけど、さくら先生がアニメ用に書き下ろしてくださった脚本の中で少しずつ彼女の内面を足してくださって、いまのキャラクターに変化してきました。今回の25年を振り返るコーナーでは、野口さんの芝居が随分変わったことにも気づいてもらえると思います。
――大金持ちの花輪くんはそんなに変わってない?
高木: 最初はもうちょっとイヤな奴でしたね。逆に、登場したときはちょっといいところのお坊ちゃまといったぐらいの扱いで、大金持ちということにはそれほど触れていないんです。
ところが、91年の『花輪邸ついに公開』(第100話)という回で、とんでもないお金持ちということが初めて紹介されて。それまでは立派な門の奥に見える建物が花輪邸のように描かれていたんですけど、それが実際は物置で、現在の絢爛豪華な洋館はその奥にあったというのが分かったんですよね(笑)。
――『ちびまる子ちゃん』を演出されている方は高木監督を含め何人かいらっしゃると思いますが、高木監督のカラーはどんなところに出ていると思いますか?
高木: “まる子”の演出家さんは常時5、6人いらっしゃるので、当然、その人その人の個性は自然に出ているでしょうね。僕が演出すると、お母さんがちょっと優しくなるかもしれない。それは優しくあって欲しいという、僕の希望ですね(笑)。
25年もの年月が作り出した、キャラクターたちの“リアルな世界”
――同じ作品を長く続けられる上で、監督が特に心がけられていることは?
高木: 大きな括りでとらえたら、“まる子”はギャグ・アニメ―ションになると思うけれど、一方では現実にある清水という街を舞台に、まる子たちの生きた生活を描く作品なので、僕はギャグ以外の生活観や登場人物たちの心情を比較的気をつけるようにしています。それこそ25年もやっていると、あの世界で生きるまる子たちにもリアル感があるんです。
だから演出家がこういうお話にしたいと思っても、彼女たちの意思が存在して、思うようには動いてくれない。でも僕は、そういうまる子たちの心情を大事に演出するように心がけていますし、そういう作業が面白いと思うんですよね。
——ちなみに、監督が好きなキャラクターは誰ですか?
高木: 監督としてではなく、個人的に好きなのは、女の子はたまちゃんで、男の子は山田。たまちゃんは本当にいい子なんですよ。山田も天真爛漫で、彼がいるだけで画面が明るくなる。幸せな子です。