ぐうたらで大人げない「ひろし」に見習う“父”の姿

――今回のスペシャルでは、「まる子、さぬきに行く」のエピソードのほかに25年を振り返るコーナーもあるんですよね。

高木: そうですね。アルバムを開くと、中の写真が動き出すスタイルなんです。

――25年の間に変わったところはありますか?

高木: 原作の変化にあわせて、アニメのキャラクターも少しずつ変わっていったような気がします。それに、長くやっていると、キャラクターが独り立ちしてくるんですよ。
初期の映像を見直すと、(学級委員の)丸尾くんあたりはすごく変わっています(笑)。ひろしもアニメーションの第1期(1990年)のときは、あんなにぐうたらしていなくて、もうちょっとしっかりしたお父さんだったと思いますよ(笑)。

――ただ、ひろしはぐうたらしているし、さっき言われたように大人げないところもあるんですけど、好感が持てますよね。

高木: 憎めない人間ではあるんですよね。善人ですし。それに、まる子の世界では大人の扱いで、頼りないところはあるけれど、一応一家の大黒柱でもあるから、裏の演出として一本芯を通しておくようにしていて、怒るときはピシッと怒るんです。
まる子もそんなに酷い悪さはしないので、滅多にないですけど、お母さんが怒ってもいうことを聞かないときはビシッと言うんですよ。

――——言い合いをしていても、ひろしとまる子はいつもお風呂に一緒に入っているから、そこはやっぱり親子ですね。

高木: どちらかと言うと、まる子はお母さんより、お父さんと仲よしですよね。お互い、ぐうたらだから気が合うんでしょう(笑)。

実は仲よし! 似た者同士のふたり© さくらプロダクション / 日本アニメーション

――監督は、ひろしみたいな人は好きですか?

高木: 僕も結構お酒を呑む方なので、あんなふうに生きていけたらなと思います。なかなか、そうはいきませんけど(笑)。

ひろしはお酒さえあれば上機嫌© さくらプロダクション / 日本アニメーション

――いまの日本のお父さんが、ひろしに学ぶべきところはありますかね?

高木: 月並みな言い方かもしれないけど、大らかなところですかね。僕も含めて、みんな、ひろしみたいに大らかになった方がいいんじゃないかなと思っていて。
ひろしはぐうたらでのんびり屋さんですけど、よく言えば、大らかなんてすよ。普通の人間ではありますが、大した奴なのかもしれませんね。