【Atelier Y】 アトリエワイのシェフパティシエの山﨑良人さん
お菓子屋がなぜクロワッサンを焼きたかったのか。改めて山﨑シェフにパンへの想いを聞くことにした。
「ケーキもですが、パンを食べるのが好きなんです。お菓子屋なので最初に焼くパンは、クロワッサンだと思っていました」
パリでの修業時代、クロワッサンをよく食べていたという。前職の「ザ・ペニンシュラ東京」の製菓長時代、毎日ではないが、クロワッサンとクイニーアマンを焼いていたとも話してくれた。
クロワッサンといえばバター。そのバターには、フランスはノルマンディー地方にある「イズニー」の発酵バターを使っている。
【Atelier Y】 複数の層からなるクロワッサン
「ジューシーなクロワッサンを目指しています。そのためにも香りだったり、クロワッサンの要素を際立たせたいと思い、イズニーの発酵バターをパン専用に選びました」
イズニーの発酵バターは、フランスではエシレと同じぐらい高級品として認知されているそうだ。いま焼いているパンは、イズニーの発酵バターを練り込んだ、クロワッサンと同じ生地を使っている。
小麦粉は国産をメインに、フランス産とカナダ産をブレンド。
「北海道産『春よ恋』で香りとモッチリ感と甘味を演出。フランス産で香ばしさを出し、カナダ産でコクを補うようにしています」
夜中に生地を仕込み、朝早くからパンを焼いているそうだ。
ビターなパンオショコラに惚れました
【Atelier Y】 パンオショコラ
私はアトリエワイのクロワッサンにフォーリン・ラブだが、パンオショコラにもびっくりした。パティシエが焼くパンオショコラなので甘いに違いないと勝手に思い込んでいた。
ところが、いい意味で裏切られた。チョコレートがビターで舌に心地よかった。
【Atelier Y】 ビターなチョコレートを使ったパンオショコラ
「噛んだ瞬間、チョコレートの香りが鼻腔から抜けるようなイメージでこのパンを考えました」
【Atelier Y】 表面をカリカリに仕上げたクイニーアマン
「クイニーアマンは、お菓子屋っぽい感じで攻めました。まわりをガリガリにキャラメリゼしています。中心にアーモンドクリームを詰めていますが、今後はフランボワーズクリームに変えるなど、別バージョンを作る予定です」
【Atelier Y】 クイニーアマン。。センターにはアーモンドクリームが
表面こそカリカリだが、中心はしっとり。甘党には嬉しい味わいだった。
ビールのアテになりそうなソーセージデニッシュ
「昨年、ソーセージをはさんだ『ソーセージパイ』を出したことがあります。今回デニッシュにするのでソーセージも変えました」
【Atelier Y】 燻したソーセージをはさんで焼いたソーセージデニッシュ。上には燻したソースがそえてある
パイ生地に細長いソーセージをはさんだソーセージパイを何度か食べたことがある。今回は太くて短い、スモークド・ソーセージを選んだ。噛むと肉汁がジワジワと出てくるジューシーなソーセージだ。
ホットドッグにはケチャップがつきものだが、アトリエワイのソーセージデニッシュにはスモーキーなソースがそえ
【Atelier Y】 クロワッサンサンド
まだ食べたことがなかったクロワッサンサンドをいただくことにした。
「フランス産カマンベール、スペイン産生ハム、オーガニックのベビーリーフをクロワッサンにはさみ、レモンとジンジャーで作った自家製ドレッシングをかけてあります」
【Atelier Y】 カマンベール、スペイン産浜ハム、、ベビーリーフをはさんだクロワッサンサンド
チーズの甘味、生ハムの塩味、バターの甘味と風味が豊かなクロワッサンが口のなかで混然となり、舌に心地よい。そこに酸味と気持ち苦みもあるレモンとジャージーのドレッシングも加わり、食べたことがない味を体験させてくれた。クロワッサンにはないしっとり感も面白い。







