コンビニやスイーツ専門店のロールケーキは、数cmのものが一般的である。
生地にクリームを塗り、ロールケーキに仕上げる。
これを数cmに切り分けたものを売っている。
ところが。
切らずにそのまま販売している店がある。
4月17日、表参道にオープンした「ナチュラル・クリーム・キッチン」だ。
この店では、50cmのロールケーキを、1本丸ごと提供している。
もちろん、食べやすい大きさにカットしたものも食べさせてくれる。
けれど、オキマリのサイズに切るのではなく、要望に応じて、3cmから1cm刻みに切ってくれるというである。その日の気分に合わせて、好みの長さに切ってくれるサービスは嬉しいかも。
「実は、もうひとつ、ユニークなサービスがあります。80cmのロールケーキも要予約でオーダーできるんです」
と微笑むのは、この店で商品開発を手がける柘植孝之パティシエだ。
誕生日やパーティー用にオーダーする人のために、ココアパウダーで文字をデコレーションしてくれる。これを取っ手付きの特製の箱に入れて、持って帰る。
ロールケーキが箱の中で転がらないようにしてあるが、約2.4kgもあり、運ぶのが一苦労。その甲斐もあり、80cmのロールケーキがテーブルに登場した瞬間、老若男女誰もが大喜び。
80cmのロールケーキは、プレーンで8000円(箱代別途2500円)。
この店は、見た目だけの、奇抜なスイーツを売り物にしてると思ったら大間違い。
ショーウインドウには、ロールケーキの他、ガトーショコラ、シュークリームなど、どこのスイーツ専門店でもよく見かけるケーキが並んでいる。ところが、これらのスイーツには、本来用いるはずの素材を使っていない。
それはなにか。
小麦粉、白砂糖の他、乳化剤やショートニングなどの添加物を含む食材だ。
「自分自身が小麦粉アレルギーだったこともあり、小麦粉の代わりに、米粉でスイーツを作れないかと思い、5年かけてレシピを考案しました」
身体に優しく、身体においしく、無添加で手作りのスイーツ。
それがこの店のコンセプトだ。
メニューの中でいちばん人気が、米粉のロールケーキ。
一昔前、米粉を使ったロールケーキがあちこちで登場したが、ほとんどが消えた。
それはなぜか。
「だっておいしくなかったんですよ、あの頃の米粉のロールケーキは。当時の米粉は、小麦粉を混ぜた米粉が大半でした。僕が使っているのはグルテンフリーの、新潟産コシヒカリ100%の米粉です。粒子が細かいので、キメの細かい生地に仕上がります」