猫は一生に一度、人間の言葉をしゃべる
猫は生きている間に一度だけ人間の言葉をしゃべると言われている。昔から年老いて化けた猫は人語を理解するとされているため、それが現代まで伝わっているのかもしれない。しゃべる内容は、ちょっとした日常単語から大災害の予言、飼い主の死期を言い当てる……などバリエーション豊富。
合理的に考えるなら、曖昧な猫の発声を人間が脳内で日本語に変換し、「ウチの猫がしゃべった!」と解釈しているだけだろう。猫はそもそも言葉の意味を理解していないというのが定説だ。
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ただ、猫が人間とある程度コミュニケーションを取れることは広く知られている。研究者によれば、日本語の意味そのものではなく、音(声)と行動、そこから生じる結果を猫は学習しているそうなのだ。たしかに筆者宅の猫も「ご飯だよと呼ばれる → エサ場に行く → カリカリが食べられる」「おいでと呼ばれる → 飼い主のところへ行く → 頭を撫でてもらえる」といった複数パターンを記憶している様子がある。
猫の感情も、表情やしぐさ、鳴き声のトーン、しっぽの動きなどで飼い主には充分伝わっている。実際にしゃべることはなくても、人間と猫はうまくやっていけているのだ。
猫を殺した人間は祟られる
殺された猫が怨霊となり、人間を不幸にする。さらに殺した本人だけでなく七代先まで祟り続ける……昔から“猫の祟り”は人々に恐れられ、怪談や絵画、ホラー漫画などの題材になってきた。現代の最恐ホラー映画として名高い『呪怨』シリーズも、やや変則的だが作中で殺された飼い猫が大きな存在感を放っている。
だが猫を殺した人間のすべてが祟られるかといえば、普通に考えればありえない。伝えられてくる猫の虐待件数と、祟りと思われる人間側の被害数がまったく釣り合っていないからだ。おそらく猫が生来もっている霊的なムードに、「むやみに殺生してはいけない」という道徳観が加わって、猫殺しを戒める俗説が生まれたのではないだろうか。
その一方、猫の祟りではないかと考えられる事例も少数ながら報告されている。今年2月、アメリカである男が自宅の窓から誤って転落し、おまけにゴミ収集車に轢かれ重傷を負うという出来事があった。実はこの男、その前年に猫をバットで殴って目を潰していたのだ(殺してはいないらしいが)。このことから“猫の祟り”説を支持するネットユーザーは多かった。
また、日本でも似たような事例がある。野良猫をさらってきて虐待し、絶命するまでの様子をネット中継したとんでもない男が、数年後に自宅内の爆発事故で重傷を負った。このニュースが流れた時もネット上では「祟りだ」「天罰が下った」などの声が相次いだ。
上記の2名はともに動物虐待の罪で起訴されており、住んでいる地域やフルネームも公表されるなど社会的制裁は受けていた。そこへきて大ケガ、さらにそのニュースが広く報じられるという追加の制裁を受けた形だ。猫の祟りを科学的に立証することはできないが、むしろインターネットが発達した現代においては「虐待の罪状と個人情報が世界中へ拡散されること」が最大の“祟り”と言えるかもしれない。