死んだ猫は生まれ変わって飼い主の元へ戻る

動物好きなネット住人が口にする言い回しに「毛皮を着替える」がある。死んでしまった最愛の動物は新たな生命を受け、また飼い主の元へ戻って来るという意味だ。犬猫どちらにも使われる表現だが、割合では圧倒的に猫が多い。

猫が亡くなったことを誰かが報告した際、「きっとまた毛皮を着替えて戻って来るよ」と慰めるためによく使われ、ペットロス(ペットの死で起こる心身の不調)の緩和に一役買っているようだ。まれに「たまたま拾った捨て猫の外見が以前死んだ猫とそっくりだった」「死んだ猫が夢に出てきてから授かった子供が、その猫とよく似た性格に育った!」など、本当に“着替え”を済ませてきたかのような報告も目撃される。

では、猫が毛皮を着替える前に飼い主が死んでしまったら、永遠に再会できないのだろうか……? 実はこれに対しても、ネット上では「虹の橋」という表現を使って希望あふれる解釈がなされている。あるサイトの解説によれば「虹の橋」は英語で書かれた作者不詳の詩が起源となっており、ネットユーザーから共感を受け世界中に広がったらしい(参考 )。

詩の内容は、天国の手前には「虹の橋」があり、先に天寿を全うした動物たちがそこで飼い主を待っているというもの。一度でもペットの最期を看取った経験がある人なら涙なしには読めない、感動的な詩である。

黒猫は不幸を呼ぶ

目の前を横切ると不幸になる、魔女の使いであるなど、キリスト教圏を中心に古くから不吉な存在として扱われてきた黒猫。そうした迷信のために無実の黒猫たちが長らく迫害されてきたという。

黒猫=不吉という迷信は日本でも有名だが、今は世界中で黒猫に対する考え方もずいぶん変わってきているらしい。迷信から特に多くの黒猫が犠牲となってきたイタリアでは「黒猫の日」が制定され、ローマ法王が黒猫の虐待をやめるよう声明を出したことがあった。同じく19世紀まで多数の黒猫を殺す行事を開催していたベルギーの一部地域では、その反省を踏まえて仮装パレードが催されるようになったそうだ。

また、インターネットの普及などにより「黒猫が幸運の象徴として扱われる国がある」ことも知られるようになってきた。とりわけ中国や日本といった東洋でその傾向が強く、魔除け・富・病気の治癒などが昔から信じられていた。毛色と性格の関係でいえば、黒猫はおだやかで飼いやすいとされ、実際に猫好きな人間からの人気も高い。ステレオタイプな迷信はほぼ払拭されている、と考えても良いのではないだろうか。

ちなみに猫の外見的な特徴と運勢を関連づける俗説は他にもあり、日本では「オスの三毛猫を飼っていると幸運が訪れる」「かぎしっぽ(尾の先端が折れ曲がっている)の猫は幸運を呼ぶ」などが有名。

もともと優れたハンターである猫は、大切な穀物や書物・教典などをネズミの害から守って人々を助けてきた。反対に、魔女狩りの影響で猫が激減した中世ヨーロッパではネズミが増殖し、ペストの大流行を招く結果になったという説がある。猫に罪を着せて迫害しても人類にはデメリットしかないのである。科学的にも、動物と接することが人間の集中力や免疫力を高めるといった効能が次々に発表されており、猫と人間の距離は今後ますます接近していくことが予想される。

パソコン誌の編集者を経てフリーランス。執筆範囲はエンタメから法律、IT、教育、裏社会、ソシャゲまで硬軟いろいろ。最近の関心はダイエット、アンチエイジング。ねこだいすき。