新宿ゴールデン街と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
作家や映画監督のような文化人たちが、夜な夜なカウンターで語り合っている飲み屋街。あるいは、“行ってみたいけれど、どんな店があるのかわからない”と感じ、ちょっと敷居の高い場所というイメージを持っている人も多いのでは?
家庭の事情などで、満足な食事がとれない子ども達が、お腹いっぱいに食べることができる『こども食堂』。ハピママ*でも、その活動を以前、取材しています。
実は、新宿ゴールデン街の一画で、こども食堂が開催されているのです。時間は日曜の午後15時からという健康的? な時間帯です。今回は、新宿ゴールデン街で開催されているユニークなこども食堂に、5歳の娘と一緒に体験してきました。
ゴールデン街に集う人たちが、子どもと遊んで料理を振舞う
ゴールデン街のこども食堂は、新宿ゴールデン街8番街にある『あび庵』という店で受付をしています。
ゴールデン街一帯は、碁盤の目のように入り組んだ地域なので、初めての場合は迷ってしまうかもしれません。『あび庵』に向かうには、『東京新宿天然温泉テルマー湯』という施設を目指すと、そこの脇道を入ったところにあります。
最初に、『あび庵』で、料金を支払って名札を受け取ってください。ゴールデン街のこども食堂は、子どもが無料となっています。大人は、子どもと同伴の場合は300円、単独だと500円になります。
スタッフはゴールデン街で働いている人たちや、常連客など、ボランティアの人たちで運営されています。名札の名前はあだ名や通称でOK。初対面でも、名札の名前を見て話しかけて、話題が広がっていくのがゴールデン街ならではという感じです。
こども食堂が開催されている地域では、コマや竹とんぼというような懐かしい遊び道具が置かれており、自由に遊べます。大人も子どもも関係なく、外で遊ぶ姿は、子どもの頃に過ごした街並みや、風景を思い出させます。
子ども達が遊んでいる間に、スタッフの方たちが手際よく料理の準備をしています。ゴールデン街のこども食堂の発起人である石川雄也さんにお話を伺いました。
雄也さんは、ゴールデン街で『Barダーリン』『スナックハニー』のオーナーをされています。バーのマスタ―以外にも、俳優として映画などに出演されるなど精力的に活動されています。
――『ゴールデン街こども食堂』を始められたきっかけは何だったのですか?
石川雄也さん(以下、雄也):こども食堂を始めたきっかけは、ゴールデン街で火災(注:2016年4月12日に新宿ゴールデン街で、建物から出火する火事が起きた)があって、店(『Barダーリン』『スナックハニー』)を休むことになったんです。
店を休んでいる間、暇だったので、ほかのこども食堂の手伝いに行ってボランティア活動をしたりしていたんです。火災の時にすごく周りの皆さんに協力していただいて店が再建できたので、これをみなさんに恩返しできたらと思ったのがきっかけです。
色々と考えて、地域に恩返しするとかお客さん一人一人に恩返しするのはなかなか難しいので、こども食堂をゴールデン街で始めることができないのかなって思いました。
――ゴールデン街と、こども食堂という組み合わせは、周りから見ると意外ですよね
雄也:この辺は私道なので車も入ってこないし、キッチンもあるし、スタッフも食品衛生の免許も持っているので、こども食堂を開催するのにも実は最適なんです。
お客さんの中でも興味がある人がいたので、手伝いとして来てもらったりしています。ほかにも、差し入れとして鎌倉から送っていただいている鎌倉野菜を、料理に使っています。