乳幼児と接していると、ちょっとした表情や動き、ジェスチャーに大喜びすること、ありませんか? 大人としては普通のことでも、乳幼児には新鮮だったり、面白く感じたりするものです。そこで今回は、その不思議の秘密を探るべく、乳幼児が喜ぶ“動き”について追求してみます。
エミリオット助産院で助産師を務め、さらに保育の資格を持つ河井恵美さんに、子どもとのかかわりの中で得た体験から、0歳から5歳くらいまでの乳幼児が喜ぶ動きを教えていただきました。
乳幼児が見て喜ぶ“動き”のルールはあるの?
0歳から5歳くらいの乳幼児が、人の動作やジェスチャーなどを見て、特に喜ぶもののルールのようなものはあるのでしょうか?
河井恵美さん(以下、河井)「子どもは、わかりやすく、自分の知っているもの、身近なものに興味を示して喜びます。特に0歳~1歳頃だと、毎日の生活の繰り返しの中で出てくるものなどには、興味を示します。他に、動作と共に『声』や『音』も一緒にあると、より効果的です。その点で、手遊び歌や身体を使う歌遊びなどはうまくできています。」
やはり、ルールのようなものがあるようです。まとめると…
- わかりやすいもの
- 自分がすでに知っているもの・身近なもの
- 声・音も一緒にあるもの
これらが乳幼児の興味を惹くものの特徴であるようです。
乳幼児が喜ぶ“動き”5選!
具体的には、どんな動きに反応するのでしょうか? 河井さんに、子どもが見て喜ぶ動きの中でも、特に上位に上るものを教えていただきました!
1.笑顔
河井「笑顔と言っても、普通に笑って、笑顔を見せてあげるだけでOKです。赤ちゃんは、笑顔を『良い』『大丈夫』『好き』など肯定的なイメージで捉えます。こちらが笑顔になると、赤ちゃんも肯定的な感覚を持って喜びます。これは、月齢が低い赤ちゃんにも効果的です。また笑顔に加えて、赤ちゃんへの声掛けもあるとよりいいですね」
2.いないいないばあ
河井「いないいないばあは、『顔が見えなくなったけど、また出てくるぞ』という期待感を持って待つ時間が楽しく、思った通りに顔が出てくるとさらに楽しくて嬉しいのです。
リズムよく繰り返していて、あるとき何秒か止まって、『あれ?出てこない…』と思わせた後、期待通りに顔を出すという風にしても喜びます。
なぜ赤ちゃんは、いないいないばあが好きなのかということですが、生後まもなくの赤ちゃんは、ものがそこからなくなって『見えなくなること』と『なくなること』」の区別がまだつきません。
この頃の赤ちゃんは、見えなくなったものは、すべて『消えた』と思ってしまうのです。
しかし生後数か月経つと、『見えなくなっても隠れているだけで、そこにある』とわかるようになるのです。一時的に物事を覚えておく『短期記憶(ワーキングメモリー)』という能力が育ってくるからなのです。
この能力によって、『顔は隠れているだけでまた出てくるはず』という期待感を持ち、その通りになることが楽しいのです」
3.バンザイなど大きな動き
河井「『バンザイ』に限りませんが、わかりやすい大きな動きが赤ちゃんの興味を引きます。手のひらを握ったり、開いたりするのを見るのも好きですね。頭の上に手を載せたり、手を叩いたりすることも喜びます」