夫婦関係のストレスから、夫以外の男性に恋心を抱いてしまったある女性。

相手もまんざらじゃない様子だし、「浮気してもばれないよね」とは思うものの、実際に親しくなるには勇気がいります。

不倫はばれなければ良いというものではなく、そもそも人の道に外れた関係。安易な気持ちで進んでしまうと、取り返しのつかない悪路にはまってしまうことも。

夫以外の男性を好きになったとき、考えたいことについてお話します。

家の中では家政婦のような自分

Aさん(32歳)は、正社員の夫と保育園に通う子どもを持ち、近所の会社で事務員として働いています。

パートであってもAさんのスキルを認めてくれている会社の対応は優しく、頼りにされるので楽しく仕事をこなしていました。

年収400万円と決して高くはないけど正社員で働く夫は、そんな妻の様子が以前から気に入らないらしく、Aさんが残業で帰宅が遅くなると「仕事で家に迷惑をかけるなよ」「家事はちゃんとしろよ」など、嫌みを言うのがAさんはストレスでした。

そんな自分はほとんど家事には手を出さず、週末の掃除も大量の洗濯物も買い物も、すべてAさんの担当。それでも、「私はパートだし、収入が低いから」と自分を納得させながら、Aさんは頑張っていました。

「本当にね、家政婦みたいだなって思うのよ」

話を聞いたとき、Aさんは大きくため息をついて言いました。

「夫が家に帰ってきても、夫婦らしい会話はないし子どもを挟んで話す程度。お風呂に入ったらさっさと寝るけど私は明日の準備とか家事が残っているじゃない?それで次の日になったらまたお弁当のおかずとかで文句を言われて。

愛情なんてもうないんだろうな……」

そんなAさんの悩みは、この夫のことではなく、ほかに好きな人ができたことでした。

「ひとりの女性」として見てくれる男性

Aさんの会社によく訪れる取引先のBさんは、バツイチだけどいつも笑顔で接してくれて、わからないことがあればすぐ来てくれるような「優しくて真面目な男性」といいます。

Aさんが好きになったきっかけは、「大きな段ボールを運んでいるとき、『危ないから女性が持ってはダメ』と代わりに持っていってくれた」こと。

家庭では、重たい物を運んでいても見向きもしない夫の対応に慣れていたので、手を貸してくれたBさんがとても男らしく思えたそうです。

それから、ランチのときに会社にいればふたりで食べたり、好きな作家が同じだったので小説の貸し借りをしたりと、ふたりの距離は縮まっていきます。

「会社でBさんに会うと、『いつも明るいですよね』とか声をかけてくれるのが嬉しくて。Bさんに良く見られたいからメイクを頑張ってみたり、何だかひとりの女に戻ったみたい」

とAさんは恥ずかしそうに言いますが、Bさんのおかげで家庭のストレスを忘れることができていました。

つらい心に寄り添ってもらえて

ふたりの心がさらに近づくことになったのは、ある朝Aさんが夫から「パートの仕事、いつまでやるの?そんなに稼ぎもないんだし、もっと家のことに集中すれば?」と言われたとき。

Bさんと仲良くなってから、「前より楽しそうに会社に行くことが気に入らないのよ」とAさんは悔しそうに唇を噛みました。

確かに、収入では夫に及ばないけれど、少しでも家計を助けたくて頑張っている仕事。ほとんどの家事を引き受けながらそれでも文句も言わずにやっているのに、どうしてそんなことを言うの?

暗い気持ちで出社したAさんは、その日用事で来ていたBさんに「今日は元気がないですよね、どうかしました?」と訊かれたとき、こらえきれずに泣き出してしまったといいます。

その日のお昼、Aさんは夫のことをBさんに打ち明けます。

「もう離婚してしまいたい」と本音を漏らすAさんに、「俺は離婚経験者だけど、後の生活のことをまずは考えないと」とBさんは普段とまったく違う様子で真摯に話を聞いてくれたそうです。

「俺で良ければ、いつでも話を聞くから。元気を出して」。そう言われたとき、AさんはBさんのことが好きだとはっきり自覚しました。