泣語家が親子愛にまつわる話を披露

さて、1つめのプログラムは、泣語家(なくごか)による小噺。泣語も寺井さん発案用語で、泣ける話に特化した人情噺を指します。今回披露された泣語は、噺家と母親との思い出話でした。

幼い頃、長男の噺家自身は「お兄ちゃんでしょ」と母からよく怒られていましたが、弟は甘やかされてあまり怒られずにいました。兄弟がいれば「あるある」な話です。

「どうして僕ばかり怒られるの?」とムシャクシャしながら眠りにつきます。翌朝目覚めると、母が怒る真意や息子を愛する思いを綴ったノートを置いてくれていたのだそう。

それを読んで、母からの愛情を感じて噺家は涙します。でも、そのメッセージについて母と直接話したことはなく、お互いに触れないまま今に至るのだとか。この話を聞いて参加者数人が涙をぽろぽろと流していました。親子愛ものに弱い方は確実に泣ける話でした。

泣きのツボを押さえた感涙動画に号泣者が続出

続いて1本あたり5~10分程度の「感涙動画」(感動して泣ける動画)を数本鑑賞します。中でも印象的だったのは、女の子が拾って大切に飼っていた犬が亡くなった話でした。

毎年、犬の命日になると、女の子のもとへ手紙が届きますが、それが生き別れた父親からのものだった、という実話(!)がもとになっています。これは『ボクと7通の手紙』という小説にもなっています。

約30分に渡り、感涙動画を鑑賞していると、8~9割の参加者が涙を流していました。動物ものや親子もの、祖父母もの、夫婦ものなど、人によって異なる「泣きのツボ」がこれでもかとばかりに入っているため、多くの人が泣けたようです。