インパクト大! 村上隆“いま”の分身「ゲロタン」
「村上隆の五百羅漢図展」では、村上氏の抽象画作品も展示されています。
©Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
バイオロジカルなイメージや宇宙的なイメージなどが混在して調和した結果、最近になってようやく形になったという作品群。抽象画に対する村上氏の強い拘りがひしひしと伝わってきます。
一方、視覚的インパクトが強いのは、ゲロを吐いている「ゲロタン」です。
©Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.
村上氏の1993年に生み出した自らの分身「DOB君」は、「たんたん坊」に変形し、さらに「ゲロタン」へと姿を変えます。これらのキャラクターは、時代ごとに村上氏の気分を語る役割を担ってきました。今回の「ゲロタン」も、村上氏の「今」を表しています。
《五百羅漢図》誕生のきっかけは震災だった!
村上氏の《五百羅漢図》を観る前に、その前提となった出来事を振り返りましょう。
村上氏の《五百羅漢図》誕生のきっかけは、2009年から2011年まで『芸術新潮』で連載された「ニッポン絵合わせ」です。これは、美術史家・辻惟雄氏がお題を出してその答を村上氏が描く、というコラボ企画でした。
このときのお題に「羅漢」がありました。そして、東日本大震災。生と死が隣り合わせの状況を目の当たりにした村上氏の中で、羅漢信仰が俄かにリアリティーを持ち始めます。それが、今回の展覧会のテーマでもある《五百羅漢図》につながりました。
制作するにあたって、村上氏がインスピレーションを受けたのが長沢芦雪と狩野一信の《五百羅漢図》でした。これらの作品も参考展示されています。
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