全長100mで描かれる村上隆《五百羅漢図》の世界

いよいよ村上氏の《五百羅漢図》へと進みましょう。全長100mの大作は、東西南北を司る四神「白虎」「青龍」「玄武」「朱雀」のパートに分かれます。

©Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

「白虎」は炎の世界。五百羅漢の中でも特に重要な役割を担う十六羅漢と霊獣たちが描かれます。アニメーションの爆発シーンなど、さまざまなものを参照していて、とてもインパクトの強い画面構成です。

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「青龍」は、村上氏が過去の《五百羅漢図》から学んだ結果が盛り込まれています。釈迦の息子が腹を開くシーンや、伊藤若冲の作品を参照した象や鯨が画面に描かれます。

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「玄武」は、完成形が初公開される作品です。具体的な玄武の姿はなく、蜃(=伝説の生物)が吐いた蜃気楼、龍などが描かれます。赤鬼・青鬼は過去の《五百羅漢図》を、ヤギのような動物は『もののけ姫』のシシ神を参照したそうです。

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「朱雀」は、大きな鳥の姿をした朱雀を中心として宇宙的な世界観が広がっています。着物の柄や手塚治虫『火の鳥』などからイメージが躍る壮大なスケールの作品です。

《五百羅漢図》に描かれる羅漢は正確に500人。制作の際には3人のスタッフで羅漢の数をカウントしたといいます。徹底した制作過程を経て完成した村上氏の《五百羅漢図》は、鑑賞者の目を楽しませるだけでなく、想像力にも強く訴えかけてきます。まさに村上隆ワールドの境地です。