【地上に戻って】
陸に上がると海岸には、ダイバー用に「温泉丸」なる入浴施設が用意されていました。
船を改造して露天風呂にしているという豪快なもの。ウェットスーツのまま入ることができます。
晴天の下、先ほどまで潜っていた海を見下ろしながら疲れた体を癒して温まる…最高!
力を抜いてお湯に浮かんでいる様は、まるで名画「オフィーリア」のようです。(死体)
すっかり暖まってお風呂から上がり、ハウスに戻ります。お昼にお寿司をいただいて一休み。
畳の上で横になると、心地よい疲れと涼しい風に吹かれて眠気が襲ってきます。ここは天国~?
と、うつらうつらしてきたところで、急に隣のテーブルから、若い男女の声が聞こえてきました。
男「こんにちは~!」
女「あ、こんにちは」
男「海はどうでした?」
女「すっごく良かったですー!」
…どうやら、ダイビングを終えて休んでいる女子2人に、若い男性が声をかけているようです。女の子もまんざらでもなく盛り上がってる。
えっ…?まさか…リアじゅ…いやいや、「リア充」なんてのは一種の都市伝説。空想上の存在、仮想敵みたいなもんですよ。そんなCMみたいな展開があるはずが…
女「お魚もいっぱい見れました!」
男「そうなんすか~!天気もいいですしね!」
楽しげな笑い声…。青春を謳歌する人々…。「イイネ」の嵐…。ズッ友…。
こっちは、「海底人との出会い」とか目論んでフラフラになってる太ったおじさん…。
今月いっぱいで…無職になるし…。(実話)
さて東京に戻ってきまして。
友人「ダイビングに行ってきたんだって? 」
ゴトウ「う、うん」
友人「やるじゃない。どれくらい深くまで潜ったの?」
ゴトウ「えっと…。気分的には…日本海溝より深くまで落ち込んだような…」
友人「えっ?しんかい2000?」
【おわり】