仕事や大事な発表などのシーンで、緊張するとすぐにお腹の調子が悪くなることに、悩まされていませんか?

これから大事な時間を控えているのに、トイレを探して駆け回る…なんてことは避けたいですよね。

そんな「過敏性腸症候群」の予備軍の女性に向けて、精神科医の古賀良彦先生に、過敏性腸症候群のしくみや、予防策などをアドバイスいただきました。

ストレスで腸の調子が悪くなる?

古賀先生によると、特に春は新しい環境によるストレスで、働く女性の「心身症」が増えるといいます。

古賀良彦先生(以下、古賀)「ストレスに上手に対処しきれないためにストレスが積み重なり、身体のバランスが乱れることによって生じることを『心身症』と呼びます。心と身体のバランスを保つ自律神経が、ストレスの蓄積によって適切に機能できなくなることで生じます。

よくみられる例としては、職場でのストレスを処理しきれない状態が続くことによって、腹痛、下痢や便秘などの腸の症状が出ること。

この過敏性腸症候群といわれる障害は、人の心をつかさどる脳の働きが、重なるストレスによってバランスを乱し、自律神経を介した腸の活動をうまくコントロールできなくなることで起こります」

腸の症状は、脳にも影響を及ぼすことがあるそうです。

古賀「腸の症状は、脳の疲れを助長し、仕事を効率的に行うことができなくなるなどの影響を及ぼすこともあります。このように、脳と腸がお互いに作用しあっている可能性は、近年“脳腸相関”として示唆されてきています」

過敏性腸症候群とは?

先のお話にも登場した過敏性腸症候群。これはどんなものなのでしょうか?

古賀「過敏性腸症候群というと、激しい下痢を繰り返すという状態を思い浮かべるかもしれません。しかし、実際には心身の疲れやストレスによって、軽い下痢をきたす人のほうが少なくありません。そのような人は、いわば過敏性腸症候群予備軍と考えてよいでしょう。

過敏性腸症候群とは、ちょっとしたストレスでも下痢をしてしまう傾向が強い状態のことです。特徴としては、自分には腸の軽い障害はあるけれど、心理的なトラブルによってそれが起きているとは思っていないことです」