■プロに慣れてる客と思われる必読のテクニック

――次はデザートですが、コーヒーも一緒にします?
「基本的にテーブルの上に乗るお皿はひとつです。ですから、デザートを食べ終わってからコーヒーが正しいんです。コーヒーも一皿と考えてください」

――あら。
「ただ、僕は一緒に出します。その方が日本人にあってるから。でもデザートの後でコーヒーね、と言われると“この人は食べ慣れてるな”って思いますよ」

――あ、そういうの聞きたいんです。ほかにどうしたら慣れてるって思われます?
「大木さんマニュアル世代ですね。まず食前酒の銘柄が決まっていて、さっと注文されると“おっ”と思います。それからワイングラスの口をつけるところが一ヶ所の人。飲み口全体が360度汚れている人とかいらっしゃいますから。ちなみに持ち方はこうです」

「あとはけっこう足を見てるんですよ、僕ら」
――足ですか。
「そう、食べているときに足がきちんと揃っていると、慣れていると感じます。相手に見えないと思って足を組んだり、ブラブラさせたりというのは、サービス人からは実はしっかり見えているんですよ」

――それは貴重なご意見をうかがいました。みなさん、気をつけましょうね。
「うん、この“自家製苺のガレット”も素晴らしいです。デニーズのスイーツは有名ですけどね。そして実はコーヒーも美味しい」

 

――そういう基本メニューのレベルが高いって大事ですね。岡部さん、ほかにあります?「お伝えしたいのは、お客様は食べることを楽しんでください、ということです。それ以外は全て僕らがやります。お皿を交換するのも、取り分けるのも、お任せください。もちろん、フォークやナイフが床に落ちても拾わないでけっこうです。どんどん僕らを巻き込んでください。たくさん美味しく食べて、会話して、レストランを心ゆくまで堪能してください」

――とても有意義でした。岡部さんはオーグードゥジュールにいますが、デニーズを見るたびに岡部さんを思い出しそうです!

◆岡部一己さんプロフィール
おかべ・かずみ 1970年生まれ。京都府出身。少年時代から料理が好きで高校卒業後、辻学園調理師専門学校で料理を学ぶ。当初は和食の料理人を目指していたが、フランス料理のギャルソン姿に憧れて方向転換。1990年「マキシム・ド・パリ」に入社。このころより接客サービスの面白さに目覚めていく。3年間の勤務ののち退社し、ワインバーなどを経て「ペリニィヨングループ」に入る。「京橋ドンピエール」支配人を務め、2000年に西麻布「ル・ブルギニオン」オープンに際して支配人となる。2002年に独立し、オーナー兼ギャルソンとして四番町に「オーグードゥジュール」をオープンし、人気店に育て上げる。新丸ビル、博多などにも店舗を展開。最新のレストランは3月にオープンした「ボン・グゥ神楽坂」。

※お料理は時期により、内容が異なります。

デニーズでは4月24日(火)より“ハンバーグフェア~ぼくらのハンバーグデイズ~”がスタートするそうです! 

1965年東京生まれ。ぴあ株式会社グルメ統括プロデューサー兼『東京最高のレストラン』編集長。主な編集作に『いまどき真っ当な料理店』(田中康夫)、『一食入魂』(小山薫堂)、『宮部みゆきの江戸レシピ』、『行列レストランのまかないレシピ』(森脇慶子)など。2001年にプロによる完全実名評価本「東京最高のレストラン」を創刊。