ゆで理論

今なお衰えないテンションで超人バトルを繰り広げている傑作漫画『キン肉マン』。その作中では我々が暮らす世界とは別の物理法則が働いているため、作者であるゆでたまご氏の名前を取って「ゆで理論」または「ゆで物理学」と呼ばれる。

ゆで理論が適用される世界では、重い物が軽い物より早く落下したり、水蒸気の中に塩分が含まれていたり、落下系の技をかけられた側に全ダメージが伝わったり(かけた側やクッションになった側は平気)する。

最近でこそフィクション作品の矛盾をあれこれ指摘するファンも増えてきたが、『キン肉マン』『聖闘士星矢』『男塾』などが人気を博した1980年代は“おもしろければ整合性なんてどうでもいいんだよ!”が正義だった。破天荒な設定やストーリーで読者をぐいぐい惹きつけるゆでたまご氏は、やはり素晴らしいクリエイターである。

みさくら語

2000年前後から漫画、イラスト、ゲーム原画などでマルチに活躍する、みさくらなんこつ氏。オタク向け観光ガイドブック『もえるるぶ東京案内』といった一般向け書籍のイラストも手がけているが、主力ジャンルは18禁、いわゆる成人向けコンテンツ。そうした作中のアダルティなシーンで美少女キャラクターが放つセリフが特異すぎたため、畏敬の念を込めて「みさくら語」と呼ばれるようになった。

みさくら語の特徴をざっくり要約すると“脳ミソがとろけるようなセリフ崩壊”。たとえば「ダメ」が「らめぇえええぇ!」になったり、「気持ち良すぎる」が「ひもひよすぎりゅぅうううぅ!」になったりする。なまじ画力が高いだけに、このセリフ崩壊とのギャップがすさまじいインパクトを引き起こす。

現在では成人向けに限らず、一般向けの作品にもみさくら語的なセリフを見かける。もはや一過性のトレンドではなく表現手法のひとつとして定着したのだろうか。ネット上には入力した言葉をみさくら語に変換してくれるコンバーターもあるので、気になる人は破壊力を試してみるといいだろう。しゅごいぃのぉおおょぉぉぅ結果ににゃって驚くに違いぃにゃいぃのぉおお!!!

パソコン誌の編集者を経てフリーランス。執筆範囲はエンタメから法律、IT、教育、裏社会、ソシャゲまで硬軟いろいろ。最近の関心はダイエット、アンチエイジング。ねこだいすき。