未知の組み合わせで、「一期一会」の味に出会おう

カップか、コーンを選択したら、2種類か、3種類のフレーバーを選ぼう。

自分で決めてもいいが、ジェラート職人に一任する手もある。

「3種類のフレーバーを注文するなら、1種類はぜひご自分で選んでください。もう2品は、それと一緒に食べると美味しいもの、合いそうなものを提案させていただきます」

6月下旬のこの日、もっともオススメで、複雑な味わいを愉しめる組み合わせを選んでもらった。

まずは、「オリーブオイル」と「ばんかんバジリコ」をカップに盛ってくれた(620円)。

「オリーブオイル」(左)と、「ばんかんバジリコ」

オリーブオイルは、ウンブリア産のエキストラバージンオリーブオイル。牛乳ベースに、生クリームを使わず、オリーブオイルを練り込んでいる。

10年ぶりに茂垣さんの自信作と再会できた。爽やかだが、味に深みがある。オリーブオイルをパンにつけて食べることはあっても、オリーブオイルのジェラートはまず賞味する機会がない。

もう一品は、河内晩柑(ザボンの一種)にバジルを加えた、この時期ならではジェラート。爽やかな味わいが特徴。

「このふたつは、とくにおすすめしたい組み合わせです」

カップ3種盛り(670円)を頼んだら、この3つを選んでくれた。

「フレッシュミルク」、「プラム」、「ピスタッキオ」。

(左から時計回り)「フレッシュミルク」、「プラム」、「ピスタッキオ」

フレッシュミルクは、北海道の牧場直送の牛乳を使用。

この日のプラムは福岡産。プラムの中では早い時期に採れる大石早生と呼ばれる品種を使用。種を取ったプラムを、皮ごとジェラートに加工しているのだそうだ。爽やかな甘さ。

ピスタッキオ(英語読みだとピスタチオ)はシチリア産。ピスタッキオのつぶつぶ感を残しつつ、なめらかに仕上げてある。このジェラートも10年ぶりかも。つぶつぶ感が舌に心地よい。

もうひとつ、2種盛りをコーン(620円、コーンはプラス40円)に盛り付けてもらった。「チョコレート」と「マンドルラート」。

「チョコレート」(左)と「マンドルラート」

ペルー産カカオを使用したチョコレートは、くどくない甘さ。

マンドルラートは、フランス産のハチミツと、ローストしたシチリアン産アーモンドがゴロゴロ入っている。この日食べた中で、もっとも食感が豊かで、なめるのが愉快だった。

スプーンでそれぞれ味わってから、かぶりついてみた。別々になめたのでは体験できない、趣がまったく異なる、ジェラートの新しい世界を鑑賞できた。

オリーブオイルのような、ほぼ定番のジェラートもある。けれど、さまざまなフレーバーを日替わりで用意しているので、組む合わせもほぼ無限大。

つまり、一期一会の味を体験させてくれる。

「ご来店いただいたときに、一番美味しいジェラートを用意しています」

「ジェラテリア アクオリーナ」
住所/東京都目黒区五本木1-11-10
電03-5708-5787
営業14時〜23時(土日祝日13時〜)
火曜休、その他不定休あり。1月中旬〜3月上旬休

※小カップのシングルは580円。ただし、ピスタッキオのみプラス100円。
※テイクアウトも可能。

東京五輪開催前の3歳の時、亀戸天神の側にあった田久保精肉店のコロッケと出会い、食に目覚める。以来コロッケの買い食いに明け暮れる人生を謳歌。主な著書に『平翠軒のうまいもの帳』、『自家菜園のあるレストラン』、『一流シェフの味を10分で作る! 男の料理』などの他、『笠原将弘のおやつまみ』の企画・構成を担当。