昔は使われていて、今は使ってはならない言葉って結構あります。放送禁止用語もどんどん増えています。
でも、言葉だけをいじっても、その考え方を失くさない限り差別や偏見はいつまでも残ったままのような気がします。
そこで今日は、『1人でできる子が育つ テキトー母さんのすすめ』の著者の立石美津子が、言葉についてお話ししたいと思います。
あんなに使っていたのに、今はない言葉
看護婦→看護師
保母→保育士
精神分裂病→統合失調症
精神薄弱児→知的障がい児
躁うつ病→双極性障害
父兄会→父母会・保護者会
養護学校→特別支援学校
特殊学級→特別支援学級
落ちこぼれ→授業についていけない子、授業につまずいてしまう子
など、時代とともに言い方はかわってきています。
「僕は普通ではないの?」
“障害者の“害”という字が“障害者が社会の害になっているような印象を与える”
そのため最近は“障がい者”とひらがなで表記されるようになりつつあります。
けれども、小学校では普通学級と特別支援学級の言葉で区別されています。この言葉を耳にして「僕は普通ではないの?」と質問をしてきた知的障がい児がいました。
そうなるとこの言い方も変えなくてはならず、きりがありません。
又、運動会で特別支援級の子どもが普通学級の生徒に交じわって競技をしたとき「あいつが入ると負けるから嫌だ」と言ってきた普通学級の生徒たちもいました。
もともと、能力や資質が違う子ども達をそれぞれの力を伸ばすために分けて教育することは必要だと思います。
わけ隔てなく一緒のクラスに置いて同じことが出来るようになるよう指導することは、両者にとって良い教育環境でなかったりします。だから区別して対応することは悪いことではないのです。
近年、「インクルーシブ教育」を進める動きがあります。
「インクルーシブ教育」とは“みんな一緒に学ぶ”と誤解されがちですが、障害のある子と障害のない子が一緒に同じ方法で同じことを学ぶことではありません。
「インクルーシブ教育」とは、誰もが異なることを前提とし、すべての子どものニーズに対応しながら共に学ぶ環境を与えることを指します。
「自閉症」という言葉より、変わるべきもの
発達障害の一つである“自閉症”は現在もこのまま使われています。
自閉症スペクトラムとか広汎性発達障害という言い方がありますが、範囲が広くなりその境目は曖昧模糊としています。それでも“自閉症”という言葉は残ったままです。
精神疾患の代表格である“精神分裂病”が“統合失調症”と名前が変わったように、呼び方を変えてほしいという運動を起こしている人もいます。