5つの仕組みのうち、おすすめはどれ?

さて、一気に5つのしくみを紹介してきましたが、どれにしようか悩んでしまいそうです。ヒントをいくつか紹介しましょう。

まず、「預貯金」か「投資」かという違いで考えると

・預貯金で貯めるのが「積立定期預金」「財形貯蓄制度」
・投資を行うことになるのが「積立投資信託」「社内持ち株会」
・どちらも選べるのが「確定拠出年金」です。

あなたが制度を利用してお金を貯めると、会社が奨励金(補助金)をつけてくれる場合があります。これはその分利息がついたようなものですから、優先的に使いたいところです。

・奨励金があり得るのは、「社内持ち株会」「財形貯蓄制度」です(奨励金ゼロの場合もあるので詳しくは社内で確認を)。

税制上のメリットがある場合、税金がかからない分、手元に残るお金が増えるわけですから、これは優先利用するべきです。

・積み立てるほど目の前の所得税や住民税が軽くなるのは「確定拠出年金」(ただし60歳まで原則受け取れないことに注意)。

・運用の利益(利息)が非課税になるのが「積立投資信託(NISAを使った場合)」「財形貯蓄制度(住宅・年金)」「確定拠出年金」。

・なお、「確定拠出年金」は最初も途中も非課税になるので最後の受取時に課税されるのですが、実質的には非課税になる可能性が高いです(退職金と同等の優遇税制があるため)。

結論としていえば、使えるものなら「確定拠出年金」を使い、預金ベースなら「財形貯蓄制度」を、投資ベースなら「積立投資信託(NISA)」を使うのがお得、ということになります。

今年は何もしなくてもお金が貯まる人になろう

どのしくみを選んだ場合であっても、指定した日に指定した金額が引き落とされ、お金を貯めていくしくみです。

しかし「最初の手続き」だけは自分でしなければなりません。手続きをしない限り、どんなよい制度も積立をスタートしてはくれません。当たり前ですね。

最初の申込書類(毎月の積立金額や引き落とし日、購入商品などを決める)を書くのはちょっとした手間です。しかし、そこさえクリアできればあとはずっと自動的にお金を貯めていってくれます。

こういう面倒ごとは「思い立ったら吉日!」とばかりに行動に移してしまうことがおすすめです。ぜひ、今月のうちにサクッと手続きをして、「何もしないのに、勝手にお金が貯まる人」になってみませんか?

やまさき・しゅんすけ 「人生の幸せの問題は、たいていはお金の問題である」という考えのもと、お金と幸せについて考えるファイナンシャル・プランナー(FP)。公的年金制度・退職金制度、投資教育が専門。Twitterでは毎日一言「お金の知恵」をツイートしてます。副業はオタクで、まちあるき、アニメとコミック、ゲーム好き。所属学会は東京スリバチ学会と日本年金学会