人々の不安から生まれた“魔女=悪”の公式
第二章“妄信する”
16世紀~18世紀の近世になると、魔女が人々の不満や憎悪の標的になります。時代背景には宗教戦争、小氷河期、貧困などがあります。活版印刷というメディアが発達した時代に、魔女は悪という考えが一気に広まり、イメージが定着していったのです。
『双頭の仔牛』家畜の畸形は、魔女が悪魔の指示と助けによって行った黒魔術と思われていました。この時代、全て悪いことは魔女のせいに……。
第三章“裁く”
不安定な時代を生きてきた人たちは、不安を解消するため魔女に全ての罪をなすりつけました。最初は噂話から。ターゲットは社会から疎外されている弱い人が多く、貧しく孤独なひとり暮らしをする老女や、人とは少し違った生活スタイルを送る人も対象とされました。そして、その噂が魔女裁判へと発展。しかし、裁判で魔女と断定するには自白が必要。そのため、拷問を行ったのです……。
『魔女の布』
赤くなるほど熱く焼いた鉄を持たせ、布で左手を包みます。三日後に何事もなければ無実という判断をしたそうですが、普通の人間ならば“何事もない”わけはないですね。黒っぽいシミはよく見ると左手の跡です。
『苦悩の梨』
上坂さんも恐ろしいと言っていた拷問器具。口を広げて拷問します。まず、歯が折れて、最後に顎が砕けるそう。想像するだけで背筋が寒くなります。
『スペインの長靴』
足を間に入れて締め上げる拷問具。内側に先のとがった棘がついていて、締めるとまずは棘が刺さり、最後には骨が折れます。
『棘のある椅子』椅子に座らせて拷問します。時には鉄製の椅子に座らせ、椅子の前か下で火をつけたそう。
ほかにも手枷、足枷などさまざまな拷問器具が展示されています。どれもこれもぞっとするものばかり……。そして、魔女と自白してしまうと火炙りの刑になってしまいます。遺体は復活しないように灰になるまで焼かれました。