インタビューされるときのコツ
何もしていない人がインタビューされるときには具体的にどんなことに気をつければいいのでしょうか。そのコツは全部で5つあります。ひとつずつ見ていきましょう。
①我が道
クリエイターは、消費者に媚びすぎてはいけません。
―― 弱冠20歳にして「世界最高パーフェクト賞」を受賞して、生活に変化はありましたか?
アーティスト うーん、特に何も変わりませんでしたね。もともと周囲に面白がってもらえたのも偶然の産物みたいなところがあるので。
このように「周りのことなんか本当はどうでもいいんです」というふうに演出しましょう。
悪い例
―― 弱冠20歳にして「世界最高パーフェクト賞」を受賞して、生活に変化はありましたか?
アーティスト アホほどモテました。もっと若い女に言い寄られたいので、それに相応しいことだけをします。
一部のロックミュージシャンなどはこういう手法も逆にありではあります。
②不器用
クリエイターは「すごい人」でなければいけませんが、「なんでもできる人」であってはいけません。コンプレックスを刺激しすぎるからです。
―― なんで今の仕事を選んだのでしょうか?
アーティスト 選んだというか、それしか出来ることがなかったんです。僕、この間まで電車の乗り換えもできなかったんですよ。
「不器用ゆえの失敗エピソード」があると好感度が上がります。
悪い例
―― なんで今の仕事を選んだのでしょうか?
アーティスト チヤホヤされるからです。僕は弁護士と医者の資格を持ち、棒高飛びの世界記録保持者でコメに写経できる宇宙飛行士ですが、チヤホヤされたかったので。
こういう受け答えをすると嫌われます。
③着眼点
クリエイターは、他の人とは違う感受性を持っていなければならないので、しばしば人が目をつけないところに目をつけます。
―― 最近気になっているものは?
アーティスト 「寄せ木細工」ですね。
「そういえばそんなのあったけど、あんまり気にしないなあ」というものを面白がるのがコツです。
悪い例
―― 最近気になっているものは?
アーティスト 『有吉・マツコの怒り新党』ですね。
みんなが見ているものを挙げてもあまり意味がありません。
④抽象
言葉で表現できない何かについて、フワフワした言葉を述べると「高みにいる人」という感じがでます。
―― 完成したものを振り返ってみて、どう思いますか。
アーティスト もともと手のひらに溢れてくるものを、できるだけそのまま表現したいという目論見があったんです。でも、そうはならなくて……だからダメだったかというと、そうでもない。
ようは、作りながら、常に景色が更新されていくような、そういう感覚があった。空気に触れる度に古く変色していくんだけど、それが時として予想よりずっと良い色になっていたりする。
そういう偶然との衝突が、結果として目論見を大きく超えた表現につながった気がして。だから自分で見返しても「なんなんだろう、これ?」って思うような部分もあるんですよ。そういう意味では、謎が多い。
―― はい。
あまりにもハキハキと答えると逆にうさんくさいので、このように曖昧な答えがリアリティにつながります。
悪い例
―― 完成したものを振り返ってみて、どう思いますか。
アーティスト はい。なんか全体的に良い感じだと思いました。満足です、はい。
―― はい。
受け答えがボンヤリしすぎているとただの「口下手な人」です。
⑤(笑)
人は笑う人に心を開く性質があるので、要所要所で笑うと「うわ~、人間だ~」と思ってもらえます。
―― でも、毎日ってわけではないですよね?
アーティスト いやいや、毎日ですよ(笑) 一日も欠かしたことありませんから(笑)
―― またまた(笑)
和やかなインタビューだったことが"(笑)"から伝わってきますね。
悪い例
―― でも、毎日ってわけではないですよね?
アーティスト いやいや、毎日ですよ(嫣) 一日も欠かしたことありませんから(薙?ヨ)
―― またまた(繧ソ)
笑うときに文字化けすると心配されます。